健康的な日本人の場合、平熱は36.5度くらいだと言われています。わたしたちの身体はこれくらいの温度で適切に動くようにできているため、これ以下の体温では、身体のあちこちに不調が生じてしまうのです。低体温症と診断された人は基礎体温が35度ほどしかありません。体温が1度下がるだけで、免疫機能は30%も低下するとされています。体温が下がっただけで、それだけあらゆる病気にかかりやすくなるのです。
女性に多い子宮頸部ガンや乳がんも、低体温症だとリスクが上がるとされています。なぜなら、ガンが発生しやすく活発に増殖しやすい温度が35度だからです。アレルギー症状も出やすくなるとされています。
また、低体温になると身体の中でエネルギーが燃えなくなるので、基礎代謝が減り、脂肪がつきやすくなります。新陳代謝が低下するのですから、肌のターンオーバーが正常に行われなくなり、肌荒れやシミ・シワができやすくなります。ホルモンバランスが乱れるので、生理不順や不妊症となるリスクも高まります。
髪のボリュームを豊かにし、艶やかな頭髪がはえるよう指示を出すのは、女性ホルモンです。しかし、低体温症となると、この女性ホルモンまで正常に分泌しなくなるため、髪が薄くなりやすくなります。さらには、体温が下がると血の巡りも悪くなるので、頭皮まで血液がしっかり巡らなくなり、髪がやせ細ってしまいます。
こうして、低体温になると髪が薄くなってしまうのです。
低体温症になる原因とは
ではなぜ最近女性は低体温症になりやすくなったのでしょうか。
食生活の乱れ
女性の場合、体型を気にして野菜中心の食事をしている人が多いです。しかし、熱を作り出すには炭水化物もたんぱく質も必要です。炭水化物は身体を燃やす燃料に、たんぱく質は熱を作る筋肉の材料になります。また、身体を維持するには、バランスよくミネラルやビタミンを摂取しなくてはいけません。太るのが怖いからといって、適当な食生活を送っていては、体温は下がる一方です。
また、白砂糖は身体を冷やす効果があります。女性は甘いものが好きな人が多いですが、甘味ばかり食べているのも低体温症の元となります。
冷房の効きすぎ
いまではほとんどの家庭でクーラーを完備しています。商業施設や会社も同様です。夏でも快適に過ごすことができるようになりましたが、クーラーのせいで身体を冷やしすぎる女性が増えているようです。男性よりも寒さに弱く、冷えやすい身体の構造をしているため、男の人に合わせた温度設定でクーラーを使用してると、夏でも冷え症になることもあるようです。
また、建物の中では涼しいくらいなのに、外は40度近いとなると、出たり入ったりをくり返すと体温調節機能が狂ってしまい、うまく体温を上げられなくなります。
運動不足
筋肉は熱を生み出すのに必要不可欠なものです。しかし、女性は男性と比べると筋肉がつきにくく、そのうえ成人するとスポーツをする人がグッと少なくなります。こうして運動不足に陥り、筋肉が減少して身体の中で熱を作れなくなってしまうのです。
オシャレのための薄着
女性ですから、寒くてもオシャレをしたいですよね。若い頃は特に、冬場でも我慢して薄着の人がいます。けれど、きちんと寒さから身体を守らないと、体温はどんどん奪われてしまうのです。
過度なストレス
強いストレスを受けると、自律神経が乱れ、身体を維持する機能に不具合が生じてしまいます。寒くても体温を上げようという機能が正常に作動しなくなるのです。それにより体温が低くても正常な温度まで戻らなくなります。
睡眠不足
最近、仕事や家事に追われ、十分な睡眠が取れない女性が増えています。しかし、睡眠不足も自律神経を乱す元です。また、人間は日が昇っているうちは体温を高く保ち、日が沈んだら低くするというリズムがあります。ところが睡眠不足だと体内時計が狂ってしまうため、このリズムにも支障が出てしまい、日中でも体温が上がらなくなるのです。
体温を上げて薄毛を予防しよう
では、低体温症にならないためには、どうしたらいいのでしょうか。
まずは、上であげたような低体温症の原因となるような生活習慣は改めましょう。最近では温活という言葉まででき、少しでも体温を上げようという女性が増えてきました。そういう人たちは以下のことにも気を使っています。
1.夏でも冷たい食べ物や飲み物は食べないようにする。
2.シャワーで済ませず、毎日湯船に浸かるようにする。
3.筋肉をつけるよう軽い筋トレを行う。
4.腹巻や靴下で身体を温めるようにする。
5.身体を温める食材を食べるようにして、冷やす食材は食べないようにする。
6.ストレッチやリンパマッサージを行い、身体をほぐして血液やリンパの流れをよくする。
7.カフェインはなるべく取らないようにする
などがあげられます。一度にすべてを行おうと思っても、無理が生じて続けられなくなりやすいです。まずはやりやすいものから一つずつ増やしていくのがいいでしょう。
このように、低体温は髪のボリュームを減らすだけでなく、あちこちに不調を生じさせる恐ろしいものです。最近なんだから疲れやすい、風邪を引きやすいなどの症状があるなら、あなたはすでに低体温症である可能性があります。すでになってしまった人も、なるのが心配な人も、いまのうちから身体を労わり、体温を上げる生活を心がけましょう。