「健診結果でコレステロール値が昨年よりも上がってしまった…」
「悪玉コレステロールが思うように改善されない…」
「忙しくてもできる悪玉コレステロールを減らす方法を知りたい…」
このような理由などで、何とか悪玉コレステロールを下げたいと悩んでいませんか?
悪玉コレステロールは、適切な対策をおこなうことで正常値に戻すことが可能です。
この記事では、悪玉コレステロールを下げるための方法について、食品や運動、サプリメントに薬など、さまざまな角度からわかりやく紹介していきます。
また、コレステロールの数値が高い原因や何に悪影響をおよぼすのかなど、コレステロールの基本的な知識についてもお伝えしていきます。
悪玉コレステロールを下げたい人は、ぜに参考にしてくださいね。

悪玉コレステロールを下げる方法とは
まず、誰もが気になる悪玉コレステロールを正常値まで戻すための方法を、「栄養素」「食品」「食生活」「運動」「サプリメント」「薬」など9つの改善方法をわかりやすく解説していきます。
また、悪玉コレステロールを正常値まで下げるには、継続して改善方法を実践することが重要です。
これから紹介する改善方法をまとめて実践しようとすると、途中で挫折する可能性が高いので、まずは1つだけで構わないので、あなたが始めやすい方法から実践するようにしましょう。
そして、習慣化されてきたらさらに1つ増やすようにすることで継続しやすくなります。
1.コレステロールを下げるには食生活を見直す
コレステロールを下げる基本的な改善策として、一番にあげられるのが食生活の見直しです。
食生活とは、食事から摂取する栄養素やバランスなど考えながら健康な体をつくる生活のことをいいます。
この食生活を見直し、正しい食事の方法を実践するだけで、悪玉コレステロールを正常値まで下げることが可能です。
あなたに最適な量の食事を心がける
悪玉コレステロール値が上がってしまう人にみられる食生活が「食べすぎ」です。
食べ物を多く摂りすぎてしまうと、体内で合成されるLDLコレステロールが上がり、肥満体型になったり、動脈硬化を招く恐れがあります。
まずは適正な食事の量をとることが、コレステロールを下げる第一歩となります。
食事の量とは、言い換えると1日に必要な「エネルギー量」のことです。
このエネルギー量を求めるには、まず標準体重を算出します。
【STEP1】標準体重の計算式
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
※身長170cmの場合:1.7×1.7×22=63.6
標準体重が算出できたら、次は1日に必要なエネルギー量を算出します。
【STEP2】1日に必要なエネルギー量の計算式
1日に必要なエネルギー量(kcal)=標準体重(kg)×標準体重1kgあたりに必要なエネルギー量(kcal)
【標準体重1kgあたりに必要なエネルギー量の表】
生活活動の具体例 | 標準体重1kgあたりに必要な エネルギー量 |
---|---|
デスクワーク中心の職業 | 25~30kcal |
1日の歩行がトータル1時間程度 | 25~30kcal |
外回りが多い営業職 | 30~35kcal |
立ち仕事が中心の職業 | 30~35kcal |
製造業やサービス業に従事 | 30~35kcal |
1日の歩行がトータル2時間程度 | 30~35kcal |
農業・漁業に従事、建設作業員 | 35~40kcal |
1日の肉体労働がトータル1時間程度 | 35~40kcal |
※数値の幅があるので、若い人は高い数値を、肥満気味や高齢者は低い数値を選択
この計算式で出された数値が、1日の適正なエネルギー量となり、このエネルギー量を超えないように食事をすることによって、悪玉コレステロールが少しずつ下がり標準値へと近づいていきます。
栄養バランスのよい食事を心がける
1日に必要なエネルギー量を把握したら、単純に食事制限でコントロールしようとすると免疫力が衰えてしまうことがあります。
そこで大切なのが栄養バランスのよい食事を心がけることです。
具体的に栄養バランスがいい食事とは、「炭水化物」「タンパク質」「脂質」「ビタミン」「ミネラル」の五大栄養素と、「食物繊維」を過不足なく適量とることです。
また、厚生労働省でも、1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかの目安を公開しています。
<5~7つ(SV)>
毎食、主食は欠かせない。
主菜、副菜との組合せで、適宜、ごはん、パン、麺を組み合わせる。
【副菜(野菜・いも・豆・海藻など)】
<5~6つ(SV)>
日常の食生活の中で、どうしても主菜に偏りがちになることが多い。
従って、できるだけ意識的に主菜の倍程度(毎食1~2品)を目安に十分な摂取を心がける。
【主菜(肉・魚・卵料理・大豆食品など)】
<3~5つ(SV)>
多くならないように注意する。
特に油を多く使った料理では、脂質及びエネルギーの摂取が過剰に傾き易くなる。
【牛乳・乳製品】
<2つ(SV)>
毎日コップ1杯の牛乳を目安に摂取
【果物】
<2つ(SV)>
毎日、適量を欠かさず摂るように心がける。
※SVとはサービング(食事の提供量の単位)の略
おそらくバランスのいい食事と聞いただけで、大変と感じる人もいるかと思いますが安心してください。
バランスのいい食事をする秘訣は、色とりどりの食品を少量ずつ食べるように心がけるだけで十分です。
そうすれば自然と野菜を摂るようになりますし、見た目の印象で判断できるので簡単で長続きしやすくなります。
野菜は少なくても1日350gを目標に食べる
厚生労働省が推進する健康作り運動「健康日本21」では、1日350g以上の野菜を食べることを目標にしています。
悪玉コレステロールを下げるには、さらに50g~150gを増やすのがベストです。
なぜなら、野菜にはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれており、この3つの栄養素は体の調子を整え、有害物質を排泄してくれる働きがあるのです。
たとえば、ビタミンには悪玉コレステロールの酸化を防ぐ働きがあったり、食物繊維には悪玉コレステロールを減らす働きがあったりと、コレステロールを下げるメリットがあります。
理想的な配分は、緑黄色野菜が1/3(120g)、淡色野菜が2/3(230g)とされていますが、この配分にとらわれず野菜不足にならないよう気をつけることが大切です。
1日に350gの野菜をとるコツは、サラダや炒め物、蒸し料理などバリエーションをつけることで飽きずに食べることができます。
また、野菜を食べる機会が少ない日は、野菜ジュースで補うのもいいでしょう。
野菜ジュースの中には糖質が多く含まれているものがあるので、なるべく糖質の少ない無添加の野菜ジュースがオススメです。
朝食はしっかりと食べて夕食は少なめにする
エネルギーの消費量は朝から夕方にかけて多く、夕方以降は徐々に少なくなってきます。
なぜなら、日中は仕事や食品の買い出しなど活動することが多いため自然とエネルギーの消費量が増え、逆に夜はリラックスすることが多くエネルギーを消費する機会があまりないためです。
そのため、朝食や昼食はしっかり食べ夕食を控えめにすることでエネルギーの摂取と消費のバランスが整い、コレステロールが増えにくくなります。
2.悪玉コレステロールを下げる栄養素と食品
コレステロールの数値を正常に戻すために必要不可欠なのが食品に含まれている「栄養素」です。
この栄養素には、悪玉コレステロールを下げたり、悪玉コレステロールを掃除してくれる善玉コレステロールを増やしたりと、さまざまな働きを備えています。
ほんの少しだけでも、普段食事をするときに栄養のことを考えて摂取することで、健康的にコレステロールの数値を戻すことができます。
コレステロールの数値を改善してくれる、代表的な栄養素は次の通りです。
EPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)
「EPA(エイコサペンタエン酸)」と「DHA(ドコサヘキサエン酸)」は、不飽和脂肪酸の一種です。
不飽和脂肪酸とは、三大栄養素のひとつである「脂質」の一種で、善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす働きがあります。
EPAとDHAは、青魚(背の青い魚)に多く含まれています。
また、青魚には質のいいタンパク質も含まれているので、LDL値がかなり高めの人は、牛肉や豚肉などの代わりに青魚を積極的に食べるようにしましょう。
1日の食事のうち、1食は必ず青魚を食べるのが理想的です。
青魚の食べ方にひとつ気をつけておきたいポイントがあります。
青魚に含まれているEPAは、熱に弱い特性があるため、焼いたり煮たりすると約80%、揚げると約50~60%低下してしまうのです。
さらに空気に触れると酸化しやすいデメリットもあります。
そのため、なるべく多くのEPAを摂取するには、鮮度のいい青魚を刺身で食べるのがオススメです。
- アジ
- マイワシ
- サバ
- マグロ
- サンマ
- ブリ など
食物繊維
「食物繊維」には、悪玉コレステロールや中性脂肪を下げる働きがあります。
腸内にあるコレステロールを絡め取り体外へと排泄してくれるのです。
食物繊維は、水に溶けやすい水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性食物繊維があります。
とくに、水溶性食物繊維は悪玉コレステロールを減らす効果が高いのです。
一方の不溶性食物繊維にも、腸内を活性化する働きがあり、脂肪やコレステロールが腸内に長時間とどまるのを抑制してくれます。
そのため、不溶性食物繊維も悪玉コレステロールを減らす効果があります。
1日に摂る食物繊維の目標量は25~30gとなります。
たとえば、1日に食べる量にすると野菜を350g以上、いも類を約100g、果物を約200gとり、同時に穀類とキノコ、海藻や豆類を適量とるようにすると、1日に必要な食物繊維を摂取することが可能です。
- 西洋カボチャ
- ブロッコリー
- 里芋
- しいたけ
- ひじき
- 納豆
- 柿
- ライ麦パン など
レシチン
「レシチン」には、血管壁や細胞膜を柔らかくする作用があります。
そのため、肝臓の機能が向上してコレステロールを肝臓に取り込む力がアップします。
また、コレステロールをもとに胆汁酸が生成されて、体外へと排出されます。
その結果、悪玉コレステロールが減少につながり、コレステロール値の正常化へと役立つのです。
- 卵
- 大豆
- 納豆
- ウナギ など
ビタミンU
「ビタミンU」には、肝臓の働きを高める働きがあります。
また、タンパク質や脂肪の代謝を高める作用があるのです。
そのため、肝臓に入ったビタミンUは、タンパク質の合成をサポートし、肝臓内の余計な脂肪を分解して肝機能を高めてくれます。
肝機能が高まることで、コレステロールの異常分泌などを防ぐ効果が期待できます。
- キャベツ
- ブロッコリー
- レタス
- パセリ
- アスパラガス など
タウリン
「タウリン」には、血中コレステロールを下げる働きがあります。
タウリンは、肝臓で作られる胆汁酸を増やす作用があるのです。
胆汁酸には、食事で摂ったコレステロールを含んでおり、体外へ排出されます。
その結果、肝臓内でのコレステロールの消費量が増え悪玉コレステロールが下がるのです。
- アサリ
- ホタテ
- タコ
- イカ
- 車エビ など
ポリフェノール
「ポリフェノール」には、強い抗酸化作用があります。
ポリフェノールは植物の光合成によって作られ、 色素や渋み、苦みの総称のことをポリフェノールと呼んでいます。
ゴマに含まれるリグナンやタマネギなどに含まれているフラボノイドもポリフェノールの一種です。
ポリフェノールの強い抗酸化作用によって、悪玉コレステロールが酸化するのを防ぎ血管内に蓄積されにくくしてくれます。
- 玉ねぎ
- ゴマ
- 大豆
- ナス
- いんげん
- イチゴ
- ブドウ など
3.悪玉コレステロールを下げる飲み物
栄養素は食品以外に、飲み物にも含まれています。
悪玉コレステロールを下げてくれる食品と一緒に飲み物をとるこで、悪玉コレステロールを効率よく下げるごとが可能です。
ここでは、手作りする必要がない飲み物を紹介していきます。
緑茶
緑茶には、渋み成分である「カテキン」が豊富に含まれています。
カテキンには強い抗酸化作用があるため、LDLコレステロールの酸化を抑える作用があるのです。
その他にも、コレステロール値の上昇や、脂肪の吸収を抑える働きがあります。
また、「βカロテン」や「ビタミンC」も豊富なので、抗酸化作用の働きがとても優れている飲み物といえるでしょう。
カテキンは光合成によって強く出されるため、玉露や番茶よりも煎茶に多く含まれています。
より緑茶の効果を得たいときは1日10~15gが理想的なので、1回5g使用して1回入れたら3杯ずつ、朝昼晩の3回に分けて飲むといいでしょう。
豆乳
豆乳には、コレステロールのバランスを整えてくれる「大豆イソフラボン」と「レシチン」が含まれています。
大豆イソフラボンは、抗酸化作用が優れておりLDLコレステロールの酸化を抑えてくれる働きがあります。
また、レシチンは、血管壁や細胞膜を柔らかくする作用があるのです。
実は細胞膜が柔らかくなることで、肝臓機能が高まりコレステロールを肝臓に取り込む力が強化されるのです。
さらに、肝臓に取り込まれたコレステロールを材料に「胆汁酸」が作られて体外へと排出されます。
胆汁酸とは、食べ物を消化して吸収するのに使用されるもので、特に脂質を消化する働きがあります。
肝臓で作られた胆汁酸のほとんどが体外へと排出されるので、コレステロールが減少していくのです。
豆乳は無調整のものが大豆イソフラボンとレチリンの含有量が多いので、なるべく無調整のものを選ぶようにしましょう。
赤ワイン
赤ワインには、ぶどうの果皮や種に含まれる「アントシアニン」や「タンニン」、「フラボノイド」に「レスベラトロール」など多くのポリフェノールが溶け出しています。
この多くのポリフェノールが強い抗酸化力を生み出し、LDLコレステロールの酸化防止や、動脈硬化を予防する働きがあるのです。
また、ポリフェノールは熱に強いため、赤ワインが入った料理からも摂取することができます。
1日の飲む目安は、夕食と一緒にワイングラス1~2杯ぐらいが丁度いいでしょう。
ただし、赤ワインはお酒なので飲み過ぎには注意してくださいね。
4.悪玉コレステロールを下げる油
LDLコレステロールが高い人は、脂肪の食べる量を減らすことも大切ですが、その脂肪の種類にも気を配ることも重要です。
脂肪の種類と性質を決めるのが「脂肪酸」と呼ばれるもので、大きく2つにわけることができます。
その2つとは、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」です。
さらに、不飽和脂肪酸は「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」の2種類存在します。
飽和脂肪酸が含まれる、肉の脂身やバター、ヤシ油などは多く摂取するとLDLコレステロールを増やしてしまうのです。
一方、不飽和脂肪酸が含まれる、青魚やオリーブオイル、えごま油などを摂取するとLDLコレステロールを減らす働きがあります。
だからといって、飽和脂肪酸をまったく摂らないでいると、血管がもろくなったり、貧血を引き起こすことがあります。
簡単にいうと、動物性脂肪は摂りすぎないように、植物性油脂は不足しないよう注意して、魚を積極的に食べるのがベストです。
魚の脂
魚は肉類と同じ動物性食品ですが、魚の油に関しては植物性の油と類似しており、多価不飽和脂肪酸が多く含まれています。
とくに背の青い青魚には「EPA(エイコサペンタエン酸)」と「DHA(ドコサヘキサエン酸)」が豊富です。
EPAとDHAには、LDLコレステロールと中性脂肪を減らし、HDLコレステロールを増やす非常に優れた働きがあります。
青魚を食べるポイントは、なるべく油を落とさない方法で調理されたものを選ぶことです。
刺身や汁物、青魚の缶詰など工夫しながら魚の油を摂取するようにしましょう。
オリーブオイル
オリーブオイルには、一価不飽和脂肪酸の「オレイン酸」が豊富に含まれています。
オレイン酸は、LDLコレステロールのみを下げる働きがあるのです。
また、「ポリフェノール」などの抗酸化作用の働きもあります。
オリーブオイルの種類はエキストラバージンオイルが香りが高く、サラダやパンに付けて食べると美味しく摂ることができます。
1日大さじ1杯を目安に摂取しましょう。
えごま油
えごま油には、多価不飽和脂肪酸の「αリノレン酸」が60%以上と豊富に含まれています。
αリノレン酸は、体内では作ることのできない脂肪酸なので、食事から摂る必要があるのです。
αリノレン酸が体内に摂取されると、EPAやDHAに変化し、LDLコレステロールを下げる働きがあります。
厚生労働省の「日本の食事摂取基準(2015年版)」によると、αリノレン酸を1日あたり成人で1.6~2.4g摂取するよう推奨されています。
えごま油なら1日約小さじ1杯(6~9分目)に値する量となるので、ドレッシングやパスタ、お味噌汁などにかけると摂取しやすくなるのでオススメです。
5.調理方法を一工夫して悪玉コレステロールを下げる栄養素の吸収を高める
調理方法や食べ方に一工夫することで、必要な有効成分を壊さず、最大限に活かしたコレステロールを下げる方法もあります。
ちょっとした工夫だけなので、簡単に誰でも取り組みやすいです。
DHA・EPAを効率よく摂る工夫
魚に含まれるDHA・EPAは熱に弱いので、調理方法に気をつけて食べないと効果が激減してしまうことがあります。
一番いい調理法はやはり刺身です。
刺身からの摂取量を100%とした場合、フライで約95%、焼き魚だと約80%、60分煮たものになると約40%と減っていってしまします。
魚を食べるときは刺身かフライまたは、焼き魚で食べると効率よくDHAとEPAを摂ることができるのでオススメです。
豆腐と魚を組み合わせて食べると悪玉コレステロールの低下が高まる
豆腐にはコレステロールの低下作用やタンパク質が豊富に含まれています。
魚には先ほど説明したDHAとEPAといった不飽和脂肪酸が多く含まれており、コレステロールの低下や血液をサラサラにしてくれる作用があります。
また、魚にはタウリンも含まれており、タウリンもまたコレステロールを下げる作用があるのです。
そのため、豆腐と魚を一緒に食べることにより、2つの栄養成分が相乗効果によって、よりコレステロールが低下しやすくなります。
とくに冬は鍋にすると豆腐と魚を同時に摂ることができるのでオススメです。
6.悪玉コレステロールを効率よく下げる運動
運動もコレステロールを下げるのにとても有効な方法です。
コレステロール値が上がる理由の1つに、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが昔と比べて悪くなっているのも一因としてあります。
昔の移動手段といえば基本的には徒歩でしたが、現代では電車や自動車、エスカレーターなど歩く機会が凄く減ってきています。
しかも、仕事もオフィスワーク中心の業種が増えているので、なおさらですよね。
買い物も銀行への振込み手続きもインターネットで済ませられる便利な時代です。
こうなると、意識して運動しないとコレステロールを下げることができません。
だからといって、普段運動しない人が急にジョギングなどの激しい運動を始めると、体に大きな負担が掛かり急に倒れてしまったり、辛すぎて続けられなくなります。
そこでオススメなのが、日常生活の中で行う運動です。
たとえば、エスカレータを使わず、階段を利用するとか、買い物は自転車でなく歩いていくなど、まずはそういったところから始めると基礎体力が増え次へのステップアップにつながりやすくなります。
コレステロールを下げるには有酸素運動が有効
コレステロールを下げるにとても有効な運動法が有酸素運動です。
筋肉トレーニングなどの無酸素運動は、筋力はアップしますが、コレステロール値は下がりにくいです。
それに比べて有酸素運動は脂質の代謝を促すので、無酸素運動よりも効果的に下げることができます。
簡単に行える代表的な有酸素運動は以下の通りです。
- ウォーキング
- 水中ウォーキング
- 踏み台昇降運動
- ヨガ など
この中でもとくにオススメの運動がウォーキングです。
ウォーキングには、コレステロールや中性脂肪を改善したり、肥満や糖尿病、高血圧などの予防にもなります。
また、スポーツが苦手な人でも手軽にはじめられるというメリットもあります。
ウォーキングのペースは、じんわりと汗をかく程度が理想です。
姿勢は、背筋を伸ばし、腕を大きく振って歩きます。
1回にかける時間は30~60分を目安として、まずは週3回ウォーキングをするようにしましょう。
体力が付いてきて、習慣化されてきたら毎日続けるよう取り組んでください。
7.サプリメントで悪玉コレステロールを下げる栄養成分を補う
本来は、上記であげた食事療法や栄養素を気にして、毎日の食事に取り入れて生活をしていくのが望ましいことです。
しかし、男女ともに仕事をするのが当たり前の時代で、毎日3食の栄養素を気にしながら食事を取っていくのは至難だと思います。
だからといって、サプリメントだけで栄養をとるのもまた、体にとっていいこととはいえません。
食事とサプリメントを上手く活用することで、コレステロールを下げる栄養素を補うのが理想的です。
魚が苦手な人は不足している魚の脂をDHAサプリで補ったり、野菜嫌いな人はマルチビタミンなどで補うなど、それぞれのライフスタイルにあったやり方でサプリメントを利用すると、中途半端にコレステロールの改善を諦めず続けやすくなります。
8.悪玉コレステロールが下がらない場合は薬を併用する
あまりにもコレステロール値が高すぎると薬に頼らなければいけないこともあります。
とくに、高LDLコレステロール症による冠動脈疾患が発病しやい状況の人ほど薬物療法が必要になってきます。
発病リスクは一人一人ことなり、個々に対して管理目標値が設定されて、その目的値を目指して治療をしていくのです。
間違っても、自己判断で市販薬で治療しないようにしましょう。
主に使われる薬は以下となります。
- スタチン(肝臓でのコレステロール合成を抑制する)
- エゼチミブ(小腸からのコレステロール吸収を抑制する)
- 陰イオン交換樹脂(胆汁酸を吸着し、便と一緒に排出する)
- EPA製剤(中性脂肪値を下げ、血栓を出来にくくする)
薬には必ず副作用があるので、きちんと医師の指示を受けた上で、薬物療法に取り組むようにしてください。
仕事や育児で忙しく生活習慣をすぐに見直せない人へのピンポイント対策術
仕事や育児疲れで、運動や食生活をすぐに見直せないけど、コレステロールを改善したい人がいるかと思います。
そんな人は、野菜と青魚に含まれる栄養素だけでも摂取するようにしてみましょう。
たった2つの栄養素を摂取するだけでも、何もしない人よりも少しずつですがコレステロールが下がっていきます。
とくにコレステロールを下げるのに有効な栄養素は次のものとなります。
天然アミノ酸「SMCS」がコレステロールを下げる
野菜にはたくさんの栄養素が豊富に含まれているため、毎日バランスよく摂取することが悪玉コレステロールの低下につながります。
その中でも、悪玉コレステロールで悩んでいる人にオススメの野菜がブロッコリーやキャベツといった「アブラナ科野菜」です。
その理由は、アブラナ科野菜に多く含まれている天然アミノ酸である「SMCS(S-メチルシステインスルホキシド)」が悪玉コレステロール値の改善に効果があるからです。
このコレステロールを低下させる作用は、「サンスター株式会社」による臨床試験でも効果が確認されています。
出典:サンスター株式会社
体内の悪玉コレステロールは肝臓機能にある酵素の働きで胆汁酸へ変化し体外へ排出されます。
SMCSには、酵素の働きを活性化させる作用があり、肝臓で処理される悪玉コレステロールの量が増えるのです。
その結果、より多くの悪玉コレステロールを体外へ排出してくれます。
ですので、バランスよく野菜を毎日食べるのが難しいときは、ブロッコリーやキャベツなどのアブラナ科野菜だけでも、毎日食べるようにしましょう。
悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールを増やすDHA
青魚に多く含まれているDHAには、総コレステロール値とLDL値を減少させ、HDL値を増やす作用があります。
この効果を確かめるため、「マルハ中央研究所」がDHAカプセル(DHA含有量29%)を28日間飲んでもらい、血液中の変化を調査した結果、総コレステロール値、悪玉コレステロール(LDL)値、中性脂肪値、血圧値のすべてが減少した結果がでました。

EPA、DHAの高脂血症および高血圧に対する影響 - マルハ社内試験 –
出典:マルハニチロ「DHAの効果」
総コレステロール値に関しては、大きな効果を得ているため、せめて2日1食は青魚料理を食べるようにしましょう。
会社員で昼食は毎日外食だという人は、昼だけは魚を食べるようにする習慣にすると取り組みやすいです。
もし、青魚を食べなかった日があればサプリメントで補うと無理なく継続することができます。
DHAサプリを選ぶときは、品質と吸収率が高く、EPAよりDHAの含有量が多いものを選ぶといいでしょう。
そもそもコレステロールはどのようなものなの?
コレステロールとは、体内のあらゆる箇所に存在する脂質のひとつです。
「コレステロール=悪いモノ」とイメージされやすいのですが、コレステロールは生命を維持するために必要不可欠なのです。
そんな悪いイメージのあるコレステロールには3つの大切な働きがあります。
1.細胞膜を作る材料になる
人の体は約60兆個の細胞からできています。
これらひとつひとつの細胞を包む膜を作るのに、コレステロールが必要になるのです。
2.ホルモンの材料になる
「副腎皮質ホルモン」や「性ホルモン」などは、コレステロールを材料にして作られているのです。
副腎皮質ホルモンには、タンパク質や糖質の代謝、ナトリウムの濃度調節などの働きをしています。
一方の性ホルモンは、男性ホルモンや女性ホルモン、妊娠を維持させる黄体ホルモンなどのことをさしています。
これらの性ホルモンは、男性らしさや女性らしさを作り出し、生殖器の発育や機能維持に関連しているのです。
3.胆汁酸の材料になる
コレステロールを材料として作られる胆汁酸は、胆汁の主成分となっています。
胆汁とは、消化液の一種で脂肪の消化や吸収をサポートしてくれる働きがあるのです。
悪玉コレステロールと善玉コレステロールの違いとは
コレステロールは悪玉と善玉の2種類が存在することはすでにご存じだと思います。
悪玉と善玉にわけてしまっていますが、実はコレステロールそのものには善し悪しはなく、もとはひとつのコレステロールなのです。
悪玉と善玉にわけられてしまっている背景には、コレステロールの働きにあります。
悪玉コレステロールの働き
悪玉コレステロールと呼ばれているLDLは、コレステロールを必要とする細胞や組織へと運んでいきます。
しかし、細胞などが必要とするコレステロール量がオーバーしてしまうとLDLが余ってしまい、血管壁にしみ込んでしまうのです。
そして、血管壁にしみ込んだLDLに含まれるコレステロールが血管の内壁へ溜まり、動脈硬化を引き起こす原因になってしまうことがあります。
そのような悪さをするため、LDLは悪玉コレステロールと呼ばれているのです。
善玉コレステロールの働き
一方の善玉コレステロールと呼ばれているHDLは、血液の中を巡回して細胞から余ったコレステロールを回収して、肝臓まで届ける働きがあるのです。
肝臓に運ばれたコレステロールは、再利用に回したり、不要であればコレステロールを分解して体外へ排出させる働きをしています。
そのため、HDLは血管内を掃除して動脈硬化を防ぐ働きがあるので、善玉コレステロールと呼ばれているのです。
悪玉よりも恐ろしい超悪玉コレステロールが存在する
最近の研究により、通常のLDLよりさらに小さいLDLが存在することがわかったそうです。
そのLDLは、「超悪玉コレステロール」または「小型LDL」とも呼ばれ、より詳しいメカニズムについては、まだ明らかになっていません。
今現在、わかっている特徴は以下となります。
- LDLの大きさは一定ではなく、粒が大きいものと小さいものが存在する
- 粒が小さく比重が重いものが小型LDLに分類される
- 中性脂肪値が高く、HDL値が低いときに増える
- 悪玉コレステロールが少なくても、超悪玉コレステロールが多ければ動脈硬化が進行する
超悪玉コレステロールが動脈硬化を進行させる
超悪玉コレステロールが動脈硬化を進行させる理由が3つあります。
- 粒が小さいので血管内壁に侵入しやすく、血管壁に蓄積されやすい
- 抗酸化作用をもつβカロテンやビタミンEなどの含有量が少ないため、通常の悪玉コレステロールよりも酸化しやすい
- 悪玉コレステロールよりも血液中にとどまる時間が長い
このような理由があるため、超悪玉コレステロールが多いと動脈硬化が進行しやすいといわれているのです。
動脈硬化とは
動脈硬化とは、血管の壁がしなやかさを失い、硬くなってしまった状態のことをいいます。
そもそも血管は、ゴムホースのように柔らかく伸び縮みするほど、柔軟性があるので血液がスムーズに流れ、体内に必要な酸素や栄養を行き渡らせることができるのです。
しかし、コレステロールや中性脂肪が過剰に増えたりすることで血管壁が硬くなり、そのまま放置していると、血管が詰まり思わぬ病気を引き起こしてしまうリスクがあります。
動脈硬化によって引き起こす主な病気は次の通りです。
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 閉塞性動脈硬化症
- 大動脈瘤
超悪玉コレステロールは、脂質異常症を専門としている病院などで、検査することができるので、気になる人は一度検査してみるのもいいでしょう。
まとめ
この記事はいかがでしたか?
今回は、「コレステロールを下げる生活習慣」について紹介しました。
一つ一つは簡単で、すぐにできるものばかりです。
しかし、コレステロールを下げるには短期集中ではなく、継続して続けることが一番大切なのです。
まずは、欲張らずに本当に簡単な方法を1つ選んで、まずは3週間続けてください。
3週間続けることができたら、さらに延ばして習慣化させるのもいいですし、もう一つ改善方法を付け加えるのもいいでしょう。
この記事を読んで、少しでもコレステロールを下げるお役に立てたら幸いです。
【参考文献一覧】
『健康診断が楽しみになる!コレステロール・中性脂肪を自分でらくらく下げる本』石川俊次監修 (主婦の友社)
『専門医が教えてくれる! 3週間で無理なくコレステロールと中性脂肪を下げる200%の裏ワザ』栗原毅監修 (日東書院本社)
『すぐわかるコレステロール・中性脂肪を自力でぐんぐん下げる本』主婦の友社監修 (主婦の友社)