ある日から突然出てくる体の不調ですが、いままで生理の周期が安定していたのがバラバラになるときがあります。
これが更年期障害による生理不順の始まりのサインとなります。
「すぐに閉経になるの?」など不安に思う人もいるかもしれませんが、すぐに閉経になることがありません。
今回は、生理不順の原因やセルフケアなどご紹介します。
更年期による生理不順の原因
更年期障害による生理不順の主な原因は、加齢による女性ホルモン(エストロゲン)が減少し、生理に変化が起こり始めるからです。
卵巣が元気に活動しているときの生理の周期は25~38日でやってくるといわれています。
しかし、40歳を過ぎる頃、少しずつ卵巣の機能が弱まってきます。
卵巣機能が弱ると女性ホルモンの分泌が少なくなり生理不順が起きるのです。
初めは一旦生理の周期が短くなり、その次に徐々に間隔があいて、閉経へと向かうパターンが多いそうです。
また、おりものの量は一般的に少なくなっていき、最後に急に増えることもあります。
出典:ピュアー女性クリニック
30代から始まる「若年性更年期障害」もある
最近では30代から生理不順になる人が増えているそうです。
その原因としてあげられるのが、ストレスによる自律神経の乱れといわれています。
自律神経が乱れることで、脳下垂体といわれる器官から分泌される卵巣への指令ホルモンに異常がでます。
分泌された指令ホルモンのバランスが崩れ出すと生理が不規則になってしまったり、止まってしまうこともあるのです。
若年性更年期障害による生理不順は卵巣機能の低下が原因ではないので、婦人科などで治療することで改善する可能性があります。
更年期による生理不順の症状とは?
更年期障害による生理不順は下記のような症状が現れます。
- 生理の周期がバラバラになる
- 生理の周期が短くなる、または長くなる
- 生理の日数が短くなる、または長くなる
- 月経血の量が増える、または減る
- 月経血の色が濃くなる、または薄くなる
- 生理痛や排卵痛が軽くなる
このような症状があった場合は、更年期障害による生理不順の可能性が高いといえます。
しかし、不正出血の恐れもあるので、必ず婦人科で検査するようにしましょう。
生理不順が始まる年齢と閉経を迎える年齢
「オレンジページnet」 のアンケート調査によると、生理不順が始まる年齢は、およそ閉経を迎える半年前~2年前で64.5%という回答結果が出たそうです。
「みえこ女性クリニック」の佐藤院長によると、日本の女性が閉経を迎える平均年齢は50歳~51歳だそうです。
その年齢の前後10年間が更年期障害と呼ばれる期間になります。
しかし、あくまでも平均年齢であって、生理不順や閉経を迎える年齢などは個人差があるので目安程度に知っておくといいでしょう。
出典:ソフィ
閉経が近づいてくると、生理の変化以外に頭痛やめまい、不眠症や鬱っぽい感じなど心と体の変化も現れ始めます。
このような症状は更年期に起こる女性ホルモンの変化が原因の場合はほとんどです。
内科や心療内科を受診する前に、まずは婦人科で検査するようにしましょう。
婦人科で診察してもらうことで、超音波検査や血液検査などで女性ホルモンの変化によるものなのかを検査してくれます。
生理不順に違和感を感じたら病院へ
更年期障害による生理不順が何度か続くと、ちょっとした違和感でも「更年期のせいだろうなぁ」と先入観を持ってしまい自己判断しがちです。
しかし、40歳以降になると、子宮体がんや卵巣がんなどの発症率が上がっていく時期でもあります。
とくに、ダラダラと出血が続くなどの体調の変化に気付いたら、早めに婦人科に行って診察や検査をしてもらいましょう。
また、周期が短かったり、出血量が多くなっているときは、立ちくらみや疲労感、動悸などの症状が続いている場合、貧血を起こしていることがあります。
そんなときも、病院で検査してもらうといいでしょう。
更年期による生理不順の症状のセルフケア
生理不順が症状が起きているときは、あまり無理な活動はせず、安静にすることが大切です。
また、疲れやストレスなどが蓄積されると、ホルモンバランスに悪影響を及ぼすので、きちんとセルフケアをして体を労ってあげましょう。
睡眠で体と心をゆっくり休める
仕事や家事などで疲れていたり、人間関係などでストレスが溜まっていると、ホルモンバランスをさらに崩してしまいます。
まずは、質のいい睡眠や仮眠などをとって、体と心を休ませてあげましょう。
好きな香りのアロマや心が落ち着くヒーリング効果がある音楽を聞きながら休むと、リラックスしやすくなります。
鉄分が豊富な食べ物を積極的に食べる
生理の周期が短かったり、出血の量が多いと貧血を起こしやすくなります。
貧血の症状は、めまいや立ちくらみ、動悸、息切れ、だるさといった症状があらわれやすいです。
貧血予防のためにも、鉄分が豊富に含まれている食べ物をなるべく多く摂るようにしましょう。
- レバー
- 赤身肉
- 青魚
- 小松菜
- 高野豆腐
- ひじき
カルシウムを積極的に摂る
女性ホルモンの減少によって、カルシウムの体内吸収が悪くなり、カルシウムが不足してしまいやすいです。
とくに更年期にカルシウムが不足してしまうと骨粗鬆症を引き起こしやすくなります。
カルシウムが普段の生活でも不足気味なので、意識してカルシウムの多い食べ物を食べるようにしましょう。
「日本骨粗鬆症学会」のガイドラインによると、1日にカルシウム量を800mg摂ると骨粗鬆症の予防に効果が期待できるそうです。
- カルシウムが強化された牛乳
- カルシウムが強化されたヨーグルト
- モロヘイヤ
- ひじき
- 昆布
更年期による生理不順への治療法
少しの生理異常であれば、治療する必要はあまりありません。
しかし、周期がバラバラだったり、出血量が多いなど生活をしていくなかで不自由を感じることがあります。
その場合は、婦人科で診察をしてもらい治療してもらうと生活がしやすくなるケースもあるそうです。
低用量ピルによる治療
一般的な治療法としては、「低用量ピル」を使用して周期を安定させる方法があります。
周期が安定することで出血量もとても少なくなりやすいので、生活がとても楽になりやすいです。
また、ピルには女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」が含まれているので、低下しているエストロゲンを補うこともできます。
その結果、更年期による不調も解消されやすくなる上、骨粗鬆症の予防にもなります。
HRT(ホルモン補充療法)による治療
「HRT」とは、更年期障害による症状などを治療するために、体内で減少している女性ホルモンのひとつエストロゲンを補充する治療法です。
欧米や北欧を中心に世界先進国で更年期世代の女性に処方されていた治療法で、各国に長期データがあるので安全性と有効性が示されているそうです。
HRTは閉経後に使用されることが多く、閉経までの期間は低用量ピルで治療し、閉経後はHRTに切り替えて治療することもあります。
日本では、飲み薬や貼り薬、塗り薬が医師の処方できる薬なので、もちろん健康保険が適用されます。
まとめ
更年期障害による生理不順は、少し不安を感じることもあるかと思います。
突然閉経になることはほとんどなく、生理不順を繰り返しながら閉経を迎えていきます。
まずは、婦人科で検査したあと、セルフケアや普段の生活を見直して更年期を不安に感じない過ごし方をおくるのが大切です。
この記事を読んで、少しでも更年期による生理不順の対策のお役に立てたら幸いです。