更年期障害を漢方薬で解消する方法18選

更年期障害の悩みを解消する漢方薬18選

更年期障害の治療法として一般的な方法がホルモン補充療法です。

しかし、治療に抵抗がある人や、いまいち効果が実感できない人も中もいます。

そこで注目を集めているのが漢方薬です。

今回は、更年期障害に有効な漢方薬についてご紹介します。

目次

そもそも更年期障害のメカニズムとは?

そもそも更年期障害のメカニズムとは?

更年期とは、女性の一生涯のうち、成熟期から老年期へと移り変わる期間に心身の不調が起きやすくなります。

更年期障害になる原因としては、卵巣機能の低下や女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの減少だといわれています。

エストロゲンの減少

出典:漢方ビュー

更年期を迎える年齢は、個人によってそれぞれことなってきますが、一般的には45歳~55歳ぐらいまでが更年期にあたるそうです。

この更年期に入ると女性ホルモンのバランスが乱れやすくなり不調による症状がいろいろとあらわれてくるのです。

更年期障害向け漢方薬のメリット

漢方薬のメリット

漢方薬は、天然の生薬を組み合わせて作られているので、1つの漢方薬で複数の症状に対し効果が期待できます。

また、薬と異なり天然の生薬をそのまま用いるので、とても安全性が高いのです。

漢方では、女性に多い「不定愁訴」と呼ばれる原因のはっきりしない症状の悩みにも有効です。

女性は男性よりもホルモン分泌の変動が多く、その乱れによって不定愁訴になりやすい傾向があります。

月経時、産後、更年期とそれぞれの時期に生じる女性特有の不定愁訴の改善には、とても向いているといえるでしょう。

さらに、薬ではつきものの副作用も漢方薬ではほとんどありません。

薬で副作用を起こしやすい人には、漢方薬を処方してもらい更年期障害の症状を改善させるのもひとつの選択肢となるでしょう。

漢方薬にはデメリットはないのか?

漢方薬も決して万能ではなく、薬と比較すると即効性がないのがデメリットといえるでしょう。

漢方薬の種類にもよりますが、多くの漢方薬は体質改善を基礎とした中長期的に飲むものとなります。

また、1日に飲む回数も薬と比べると多く、食前や食間などに飲むという煩わしさが大変で好まない人がいるのも事実です。

更年期障害向け漢方薬は体質に合ったものを選ぶのがポイント

漢方薬は体質に合ったものを選ぶのがポイント

漢方薬で一番大切なことは、体質に合ったものを選択することです。

例えば、同じ症状で悩んでいる人がいても、人によって効く漢方薬がことなります。

漢方の概念

漢方では、心身の不調を「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」のバランスが崩れた状態であると判断します。

「気」とは、体内に巡っている生命のエネルギーのことで、元気の源のようなイメージです。

「血」は、栄養素やホルモンを体内全体へと届ける滋養分的なイメージ。

最後の「水」は、全身を潤す体液を指しているのです。

漢方の概念

出典:漢方ビュー

更年期を迎えると、とくに気と血が足りなくなり、その結果巡りが悪く不調を引き起こしやすいといわれています。

また、漢方ではホルモンや生殖、泌尿器のことを「腎(じん)」と呼んでいます。

腎は、生命力や若々しさをあらわしているのですが、更年期ではこの働きも低下しているのです。

あなたに合った漢方薬の選び方

漢方の専門医であれば、上記のような観点から体質を見極めて漢方薬を処方してくれます。ただ、わざわざ専門医に行くのは抵抗があるという人は、大まかな体質を把握することができる自己チェック方があります。

「虚証」と「実証」と「虚実間証(虚実混合証)」のセルフチェック

下記にあるセルフチェックをみて、当てはまる項目の数を虚証と実証それぞれの合計数を出してください。
それぞれの合計数で、あなたがどのタイプが判断することが可能です。

虚証と実証

出典:元気通信

あなたのタイプがわかれば、相性のいい漢方薬がどれなのか絞りやすくなるので、ひとつの目安として活用してみてください。

更年期障害向け漢方薬おすすめ18選

更年期障害におすすめの18つの漢方薬

加味逍遙散(かみしょうようさん)

加味逍遙散が向くタイプ

虚証

症状

  • 頭痛
  • めまい
  • 不安
  • のぼせ
  • イライラ
  • 精神不安
  • 疲れやすい
  • 肩こり
  • 動悸
  • 上半身の熱感や発作性の発汗
  • 腰痛
  • 月経困難
  • 月経不順

加味逍遙散の特徴

加味逍遙散は、月経異常や更年期障害など、女性特有の症状に対してよく使われる漢方薬です。
ストレスによって、頭痛やめまい、不眠などの症状に悩まされる人も多くいますが、このような心身の不調にも使われます。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

桂枝茯苓丸が向くタイプ

虚実間証

症状

  • 頭痛
  • めまい
  • のぼせ
  • 発作性の熱感
  • 赤ら顔
  • 赤にきび
  • 肩こり
  • 腰痛
  • 腹部の圧痛や抵抗
  • 月経困難
  • 月経不順
  • 足の冷え

桂枝茯苓丸の特徴

桂枝茯苓丸は、赤ら顔やのぼせやすく足が冷えやすい人、下腹部が張る感じがするなどに向いた漢方薬です。
とくに、月経異常や子宮内膜症、更年期障害などでよく使われます。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

桃核承気湯が向くタイプ

実証

症状

  • 頭痛
  • めまい
  • イライラ
  • 不安
  • 不眠
  • のぼせ
  • 顔面紅潮
  • 肩こり
  • 腰痛
  • 月経不順
  • 月経困難
  • 便秘
  • 関節痛
  • 神経痛

桃核承気湯の特徴

桃核承気湯は、頭痛やイライラ、不眠などの症状があり、月経異常や更年期障害の精神不安の治療などに使用される漢方薬です。
また便秘薬として使用されることも多く、便秘のトラブルで起きた肌の改善にも使われたりします。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

当帰芍薬散が向くタイプ

虚証

症状

  • 頭痛
  • 頭が重い
  • めまい
  • 顔面蒼白
  • 白にきび
  • 肩こり
  • 貧血傾向
  • 倦怠感
  • 腹痛
  • 月経不順
  • 月経困難
  • 足腰の冷え
  • 足のむくみ

当帰芍薬散の特徴

当帰芍薬散は、産婦人科の三大漢方のひとつで、巡りをよくして体を温めてくれる漢方薬です。
さまざまな婦人科系の病気や症状に効果を発揮してくれます。
月経異常、更年期障害、自律神経失調症などによくしようされます。

抑肝散(よくかんさん)

抑肝散が向くタイプ

虚証

症状

  • 神経過敏
  • イライラ
  • ひきつけ
  • 不眠
  • 怒りっぽい
  • 興奮しやすい
  • 痙攣または震え
  • 足が落ち着きなく動き回る

抑肝散の特徴

抑肝散は、神経症状やイライラ、興奮しやすい、眠れないなどの症状で使われる漢方薬です。
その他にも認知症の人で、不眠や興奮状態が改善したとの報告もあり、認知症の行動や心理症状に対して有効な漢方薬として注目を集めています。

甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)

甘麦大棗湯が向くタイプ

虚証

症状

  • 精神過敏
  • 焦燥感
  • 抑うつ傾向
  • ヒステリック
  • 不眠
  • あくびの頻発
  • 筋肉の痙攣

甘麦大棗湯の特徴

甘麦大棗湯を構成している3つの生薬には、鎮静作用が期待できるもので、心身の興奮状態を静め、不安定な症状を改善してくれる漢方薬です。
また、甘麦大棗湯は女性によく使用され、不眠症やうつ状態、更年期障害などによく処方されます。

女神散(にょしんさん)

女神散が向くタイプ

虚実間証

症状

  • のぼせ
  • めまい
  • 不安
  • 不眠
  • 月経不順

女神散の特徴

女神散は、主に女性に使用されることが多く、産前産後の神経症や更年期障害などに使われる漢方薬です。
女神と付くことから女性特有の症状に効果が期待できます。
また、加味逍遥散があまり効果が得られなかった人が女神散に切り替えることで、効果を実感する人もいます。

温清飲(うんせいいん)

温清飲が向くタイプ

虚実間証

症状

  • イライラ
  • のぼせ
  • 月経不順
  • 月経困難
  • 神経症
  • 皮膚炎

温清飲の特徴

温清飲は、更年期障害や皮膚炎などで使われる漢方薬です。
とくにのぼせやすい人やイライラしやすい人の体質に相性がいい漢方薬になります。

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

柴胡桂枝乾姜湯が向くタイプ

虚証

症状

  • イライラ
  • 不安
  • 不眠
  • 口の渇き
  • 唇の荒れ
  • 舌先が赤い
  • 疲労感
  • 倦怠感
  • 動悸
  • 寝汗
  • 腹力が軟弱

柴胡桂枝乾姜湯の特徴

柴胡桂枝乾姜湯は、体力があまりないタイプで更年期障害や不眠症などに使われる漢方薬です。
風邪の諸症状などにも効果があり、また貧血や体力低下などに使われることもあります。
柴胡桂枝乾姜湯で配合されている生薬は、神経の高ぶりや炎症を鎮めたり、気分をやわらげる働きなどがあるので、過敏な神経を癒やして心身の働きを整えてくれます。

加味帰脾湯(かみきひとう)

加味帰脾湯が向くタイプ

虚証

症状

  • ストレスによる消耗
  • 憂うつ
  • 不眠
  • イライラ
  • 動悸
  • 寝汗
  • 全身の倦怠感
  • 食欲不振

加味帰脾湯の特徴

加味帰脾湯は、貧血や不眠、精神不安などに使われる漢方薬です。
また、寝汗や微熱などがある場合にも効果があります。

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)

防已黄耆湯が向くタイプ

虚証

症状

  • 疲れやすい
  • 色白
  • 多汗
  • 筋肉がやわらかい
  • 水太り
  • 尿量の減少
  • 関節の腫れ
  • 関節痛
  • 足のむくみ

防已黄耆湯の特徴

防已黄耆湯は、体の水分代謝が悪い人に対して水分の代謝に働きかけてむくみや倦怠感を軽くしてくれる漢方薬です。
また、関節リウマチや多汗症、むくみやにきびなどに皮膚病にも使われます。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

補中益気湯が向くタイプ

虚証

症状

  • 微熱
  • 全身倦怠感
  • 食欲不振
  • 寝汗
  • 胃下垂
  • 胃アトニー
  • 腹力が軟弱
  • 脈に力がない

補中益気湯の特徴

補中益気湯は、脈やお腹の力が弱く、全身倦怠感などさまざまな不調に対して使われる漢方薬です。
また、病後や産後などの体力回復や虚弱体質の改善などにも使われます。

温経湯(うんけいとう)

温経湯が向くタイプ

虚証

症状

  • 神経症
  • 唇の乾燥
  • 貧血
  • 手のひらのほてり
  • 皮膚の乾燥
  • 月経異常
  • お腹の冷え

温経湯の特徴

温経湯は、月経異常や不妊に悩む女性に使われることが多い漢方薬です。
また、月経不順や月経困難症、更年期障害などの婦人科系の不調にも効果があります。
また、湿疹などの皮膚症状を改善する効果も期待できます。

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

黄連解毒湯が向くタイプ

実証

症状

  • イライラ
  • 不安
  • のぼせ
  • 顔面充血
  • 胃の不快感
  • みぞおちの痛み
  • 皮膚の熱感
  • 発赤
  • かゆみ

黄連解毒湯の特徴

黄連解毒湯は、高血圧に随伴する症状があるときに使われる漢方薬です。
臨床研究でも、血圧が下げないのですが、高血圧にともなう精神不安や睡眠障害、顔面紅潮などの症状に対して、有効性が確かめられているそうです。
また、精神症状からの動悸や胃炎症状などなどの治療にも効果が期待できます。

三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)

三黄瀉心湯が向くタイプ

実証

症状

  • 頭痛
  • 耳鳴り
  • のぼせ
  • 顔面充血
  • イライラ
  • 不安
  • 不眠
  • 神経過敏
  • 鼻血
  • みぞおちのつかえ感
  • 胃の不快感
  • 痔出血
  • 便秘

三黄瀉心湯の特徴

三黄瀉心湯は、過剰な高ぶりに関する症状を抑えるのによく使われる漢方薬です。
また、高血圧にともなう肩こりやめまい、更年期障害のイライラや、のぼせなどにも効果があります。

五苓散(ごれいさん)

五苓散が向くタイプ

虚実間証

症状

  • 頭痛
  • めまい
  • のぼせ
  • 口の渇き
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 胃の振水音
  • 下痢
  • 尿量の減少
  • 足のむくみ

五苓散の特徴

五苓散は、水分代謝を良くして、むくみや頭痛、下痢などの症状に使われる漢方薬です。
また五苓散には、利水作用があるので水分の循環を良くして、余分な水分を取り除いてくれます。
そして、頭痛やめまい、吐き気から嘔吐まで適応範囲が広いのも特徴のひとつです。

呉茱萸湯(ごしゅゆとう)

呉茱萸湯が向くタイプ

虚証

症状

  • 片頭痛
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 首や肩のこり
  • みぞおちのつかえ感や痛み
  • 胃の膨張感
  • 腹力軟弱
  • 手足の冷え

呉茱萸湯の特徴

呉茱萸湯は、体を温める効能があり、冷え性の人の片頭痛などに有効な漢方薬です。
また医学的な研究では呉茱萸湯を飲むことで頭痛の回数や痛みの強さが減ったり、頭痛にともなう冷えや肩こりなどもあわせて改善された報告もあります。

半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

半夏白朮天麻湯が向くタイプ

虚証

症状

  • 頭痛
  • 頭が重い
  • めまい
  • 吐き気
  • 倦怠感
  • 肩こり
  • 食欲不振
  • 冷え

半夏白朮天麻湯の特徴

半夏白朮天麻湯は、めまいや頭痛などがあり、ときどき全身の倦怠感などをともなう場合に使われる漢方薬です。
頭痛に対しては、ストレスなどの心理的な要因によるものに効果が期待できます。
また、吐き気を抑えたり、胃腸の調子を整えて症状を改善する働きもあります。

参考文献:「漢方薬事典改訂版」

まとめ

漢方薬による更年期障害の症状の改善には、漢方薬とあなたの体質タイプが合えば、とても効果が期待できます。

漢方薬の中には健康保険が適用されるものもあるので、病院で処方してもらうのもいいでしょう。

また市販でも漢方薬が売られていますが、価格が高めなのでまずは試してみるのを目的に購入してもいいかもしれません。最近では和漢方を使用したサプリメントもでています。

この記事を読んで、少しでも更年期の症状改善のお役に立てたら幸いです。

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この記事を書いた人

自身の体調不良をきっかけに、健康の大切さを知り、健康管理の分野を学ぶ。より深い知識を身につけるため、健康管理能力検定3級・2級資格を取得し健康管理アドバイザーになる。少しでも健康に興味を持ってもらえるよう、分かりやすく役に立てる情報を発信するよう努めてまいります。

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