更年期を迎えるとイライラやうつうつとした気分になることがあります。
そういった心の不調を無理して頑張りだけで乗り切ろうとしていませんか?
更年期障害の症状である場合は、再び元気を取り戻しますが、ずっとうつうつとした症状が続くと更年期うつ病の可能性も考えられます。
今回は、更年期うつ病の原因や症状、予防法などについてご紹介します。
更年期うつ病の原因
更年期障害を迎えると、卵巣機能が低下して女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」の分泌が減少します。
このエストロゲンが減少することによって、脳のセロトニン代謝を悪化させてしまうのです。
エストロゲンやセロトニンが減少すると、将来のことが不安に思ったり、些細なことで泣き出してしまうなど心の不調が起きやすくなります。
さらに日々ストレスがあり蓄積させると余計に症状が悪化してしまうこともあるので要注意です。
更年期うつ病の症状と特徴
更年期うつ病を我慢しているうちに、本格的なうつ病へと症状が悪化してしまうことがあります。
そうならないためにも、心の不調を感じたら早めに対処することが大切です。
更年期うつ病の症状
更年期うつ病の症状は、エストロゲンの減少によるものと、本格的なうつ病が混在している場合もあります。
とくに長年「更年期だから」と心の不調を我慢し続けている人の中には、うつ病にかかっていることも少なくないそうです。
更年期障害が辛くて病院に通っている患者の30%弱は、うつ病も合併している報告もあります。
更年期うつ病の症状としては
- 疲れやすい
- 怠い
- 体がずっしりと重く感じる
- 仕事や家事が思うようにできなくなる
- 気持ちのコントロールができなくなる
- 体に痛みや不快感があるも、身体検査では異常が見当たらない
- 抗うつ感が2週間以上も続いている
など、個々によって症状は異なりますが、こうような症状があった場合は早めに婦人科などで診察してもらいましょう。
更年期うつ病は早期に発見することが一番大切なことです。
更年期うつ病の特徴
「日本産科婦人科学会」の日産婦誌によると、更年期うつ病には女性特有の特徴があり、その特徴を早期に気付くことが大切だそうです。
女性の更年期うつ病による特徴
- 献立が決まらないため、買い物に出かけられない
- 家事ができないことで自分を責め、家人からも責められる
- 家族よりも早く起床できなくなる
- 午前中にいつもしていた掃除や洗濯ができない
- 人に会いたくないので外出を控えるようになる
- 料理の味付けができなくなる
- 化粧がいいかげんになり、服装がちぐはぐな感じになる
- 家事の切り盛りには「べき思考」で臨むため、家事は自分の専業事であると責任を感じている
- 家事ができなくなると、罪業感をいだき、自らを卑下する
- 家人からの叱責と家事不履行の指摘に罪業妄想をいだいて頑張り続ける
- 更年期障害と自己診断し、慢性化、重症化するまで受診しない
- 受診しても「更年期障害」の診断のもとHRT、あるいは抗不安薬のみで長期治療されている
引用元: 日産婦誌61巻9号
このような特徴に当てはまった場合は、婦人科で検査してもらいましょう。
更年期うつ病は気付きにくいのが難点
更年期うつ病は、更年期障害の症状と似ているため、うつ病になっていても更年期症状と思い見過ごされやすいです。
しかし、強い憂鬱感や何やっても楽しくなかったり、興味が沸かないなどの抑うつ気分が2週間以上続いている場合は、更年期うつ病の可能性が高いといえます。
また、「PMS(月経前症候群)」や「PMDD(月経前不快気分障害)」、「産後うつ病」になったことがある場合、更年期うつ病になりやすい傾向が高いという報告があるので注意してください。
更年期うつ病を見逃さないための3つポイント
更年期うつ病のサインを見逃さない3つのポイントがあります。
まずは下記の3つの状況に当てはまらないか確認してみてください。
どれか1つでも当てはまる状況があった場合は、早めに婦人科で診察を受けるようにしましょう。
【ポイント①】全てを更年期のせいにしない
心の不調全てを更年期障害だからと、軽く思って自己判断してしまうと、本当は治療が必要な状態を見逃してしまう恐れがあります。
気分が落ち込むだけが更年期うつ病だけでなく、イライラ感も含まれます。
いつもよりも症状が長く続いていると感じたら、注意しましょう。
【ポイント②】眠りに変化が起きたら注意が必要
なかなか寝付けなかったり、朝早くに目覚めてしまう睡眠障害は、更年期障害でもうつ病でも起こる症状です。
更年期に入ると普段の生活だけでも疲れやすい体になっているので、睡眠をとって休息することは体にとって必要不可欠となります。
この時期に睡眠障害が長引いてしまうと、抗うつ状態に陥りやすく、うつ病を起こすきっかけにもなってしまいます。
眠りの変化に気付いたら注意が必要です。
【ポイント③】休んでも疲労が回復しないときは注意
更年期を迎えると、普段以上に疲れやすい体質へと変化します。
また、何でもないことにイラっとしたり、急に落ち込んだりすることもよくあります。
そういった症状が、休息によって心身ともに癒やされリフレッシュすることができるうちは、とくに問題はないです。
しかし、休息や気分転換しても回復しない場合や、徐々に悪化しているときは、危険な状態といえます。
更年期うつ病の予防対策
更年期うつ病の予防や改善させるには、セルフケアも欠かせません。
ただし、一番症状が落ち込んでいる時期はなるべく安静にするのがベストです。
その場合は、しばらく安静にしたあと、少しずつ気持ちが明るくなってきたら回復傾向に向かっているので、予防対策をすることでさらに回復が早まることもあります。
早朝のウォーキングで気分をリフレッシュする
太陽の光を浴びることで脳内のセロトニン代謝が活発になります。
また、ウォーキングをすることで気持ちをリフレッシュすることができる上に、体中の血液循環が良くなるので、更年期障害の予防につながります。
緑の多い場所で景色を楽しんだり、お気に入りの心地良い音楽を聞きながらウォーキングするとより効果的です。
ウォーキングが辛いようであれば、部屋のカーテンを開けて太陽の光だけでも浴びるようにしましょう。
安定効果が期待できるアロマオイルを使う
アロマの香りは、心を落ち着かせるのにとても効果があるといわれています。
泣きたい気分や不安感がつのるときは「クラリセージ」の香りがオススメです。
クラリセージには、緊張をほぐし明るき気持ちにしてくれる効果があります。
その他にも、気持ちが落ち込んでいるときには、幸福感を高める効果がある「ジャスミン」や「ローズ」などもオススメです。
また、アロマショップには、使用目的別に予めブレンドした香りもあるので、目的から香りを選ぶのもいいでしょう。
バジルを食べるようにする
バジルには、免疫力の向上や抗酸化作用のあるβカロテンを豊富に含まれています。
さらに、ビタミンEやミネラルもあるので、アンチエイジング効果があり、更年期障害の進行を抑えてくれる効果が期待できます。
またバジルの香りには、鎮静作用のある成分が含まれているので、更年期うつ病による気持ちの落ち込みも和らぐこともあります。
バジルは比較的育てやすいハーブなので、自宅で栽培して積極的に食べるといいでしょう。
心の不調にいいとされるサプリを使用する
ヨーロッパなどでは、うつ病の薬として使用することもある「セントジョーンズワート」は、不安やイライラを抑えてくれる作用があります。
セントジョーンズワートはハーブの一種で、ビタミンCと一緒に摂ることで気持ちを元気にしてくれます。
日本でもサプリメントとしてセントジョーンズワートが売られているので、まずは1ヶ月程度試してみるといいでしょう。
ただし、すでに低用量ピルや抗うつ剤を服用している場合は、効果を下げることがあるので、摂取するときは医師に相談してからにしましょう。
婦人科で診断を受ける
プレ更年期や更年期を迎えたばかりの人でも、気持ちの落ち込みや不安感などの症状が長く続くことがあります。
そういった症状の場合は、まず婦人科で医師の診断を受けるようにしましょう。
プレ更年期や更年期が原因なのかは血液検査によってホルモン濃度を調査することで判断できる場合があります。
女性ホルモンが低い場合は、低用量ピルやホルモン補充療法などで治療することで症状が治まります。
また、症状の重さによってはカウンセリングや心理療法とあわせて治療を進めることもあるそうです。
どちらにしても、心の不調が長く感じた場合は、早めに婦人科に行くようにしましょう。
心療内科で治療を受ける
更年期を迎えている人でも、会社の主力メンバーとして活躍している人もいるかと思います。
多少の更年期症状であれば、我慢したり仕事に集中して気を紛らわすことで乗り越えている人もいるかもしれません。
しかし、頑張ってまじめに働いている人こそ気をつけたいのがストレスの蓄積です。
仕事をしていると普段以上に過剰なストレスを受け続けてことが多く、上手にストレスを解消してあげないと、心や体が不調を訴えきます。
下記のような症状が2週間以上続くようであれば、うつ病の可能性が考えられます。
- 憂うつ
- 悲しい感情
- やる気が起こらない
- 集中できない
- イライラする
- 自分を責めてしまう
- 睡眠障害が起きる
- 食欲不振または増加 など
もしこのような症状が2週間以上も続いていたときは、早めに心療内科を受診するようにしましょう。
治療が早ければ早いほど、回復する期間も短く治療の効果も期待できます。
まとめ
更年期うつ病は、更年期障害の症状と似ているために、我慢しているひともいるかと思います。
我慢して乗り切るにも更年期は閉経後の前後10年間続くといわれているので、我慢するよりも早め対処する方が心身ともに楽になることが多いです。
また、軽めの運動など予防法を早めに行うことで、症状を引き起こしにくくすることもできます。
あなたの症状の重さに合わせて治療や治療+予防法などを行い、少しでも楽しい生活が送れるようにしましょう。
この記事を読んで、少しでも更年期うつ病対策のお役に立てたら幸いです。