花粉症はアレルギー症状の一種です。
花粉症になると鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどが起きてしまいます。
これは花粉が体内に入ることで、反応物質である「Ige抗体」が作られてしまうためです。
今回は、花粉症のメカニズムについてご紹介します。
花粉アレルギーを引き起こす物質
まずは、花粉症になってしまうメカニズムを解説する前に、花粉アレルギーになってしまうのに深く関わってくる物質などが5つあります。
この5つを物質などの役割を知ることで、花粉症のメカニズムが理解しやすくなるので、簡単に解説します。
抗原(アレルゲン)
「抗原」は、アレルギーを引き起こす元になる物質のひとつです。
この抗原は個々によりアレルギーが起きやすい人と起きない人もいます。
また、アレルギー症状の水準も個人差があります。
Ige抗体
「Ige抗体」は、体内に抗原が入ることで作られる物質です。
Ige抗体の働きは、体内に侵入した抗原を結合させて、抗原の作用や毒性を抑えてくれます。
スギ花粉が体内に侵入するとスギ花粉用のIge抗体が作られ、ヒノキ花粉が体内に侵入するとヒノキ花粉用のIge抗体が作られるように、抗原によってその抗原専用のIge抗体が作られる仕組みになっているのです。
肥満細胞
「肥満細胞」は、白血球の一種で免疫システムを兼ね備えています。
その免疫システムによって抗原を体外に排出する働きがあるのです。
抗原と結合したIge抗体は、抗原を体外へと排出してもらうために、次々と肥満細胞と合成します。
ヒスタミン
「ヒスタミン」は化学伝達物質で、このヒスタミンが過剰に分泌されると鼻水やかゆみなどの症状を引き起こします。
ロイコトリエン
「ロイコトリエン」は化学伝達物質で、このロイコトリエンが分泌されると気管支喘息の発作が起きます。
また、鼻粘膜の炎症や腫れも引き起こすため、鼻づまりの原因にもなります。
花粉症の症状が起こるメカニズム
なぜ花粉症の症状が起こるのかを先ほど解説した物質名を用いて説明します。
花粉の抗原が侵入しIgE抗体が作られる
花粉が鼻や目などから体内へ入り込むと、危険な異物が入ったと信号が送られてIgE抗体が作られます。
IgE抗体はその異物である花粉抗原と統合して体内への侵入を守っています。
その後、IgE抗体は肥満細胞に付着して血液内を巡回しつづけます。
このあともずっと花粉抗原が体内に入り込むことで、上記のことを繰り返し体中にIgE抗体がたくさん付着した肥満細胞は、花粉症の症状を引き起こす準備段階へと移るのです。
肥満細胞から化学伝達物質が放出される
IgE抗体が一定以上付着した肥満細胞に、花粉抗原が体内に入ると限界点を突破し、ヒスタミンやロイコトリエンが放出されてしまうのです。
はじめにヒスタミンが働き出し、鼻水やかゆみを引き起こします。
そこから少し遅れてロイコトリエンが作用しはじめて、鼻づまりなどの症状を引き起こすのです。
花粉症になる流れ
1.花粉の侵入
花粉が鼻や目の粘膜に付着。
粘膜に付いた花粉が水分を吸うことで抗原が粘膜内へ浸透して侵入する。
2.IgE抗体が作られる
侵入してきた抗原に立ち向かうため、IgE抗体が作られる。
3.IgE抗体が肥満細胞にくっつく
IgE抗体が抗原を確保したのち、肥満細胞にくっついて、各粘膜へと分布される。
4.肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンが飛び出す
肥満細胞にくっついたIgE抗体に、再び同じ花粉抗原が侵入してくると、IgE抗体が一定量を超える。
その結果、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンが飛び出でてしまう。
5.花粉症の症状があらわれる
肥満細胞から放出されたヒスタミンやロイコトリエンによって、神経や血管などを刺激を与える。
その刺激によって、さまざまな花粉症の症状があらわれる。
自分にあった花粉症対策を見つけよう
一度花粉症になってしまうと、残念ながら一生付き合う覚悟が必要になります。
花粉症による症状は人それぞれです。
目のかゆみが強い人もいれば、鼻水が止まらないなど個々によって対策方法も異なることもあるでしょう。
最初の1~3年目は、色々と花粉対策を試す時期でもあります。
その中で、少しずつ自分のライフスタイルに合った対策方法が見つかることが多いです。
まとめ
花粉症にかかると、毎年の花粉シーズンが憂鬱になるくらい、とてもつらい症状です。
しかし、花粉症のメカニズムで読み取れることは、なるべく花粉を体内に侵入させないことが一番重要なポイントです。
外出時にはマスクを付けて、鼻と口から花粉が入り込まないようしっかりとガードしましょう。
この記事を読んで、少しでも花粉症の知識が身について何かしらのお役に立てたら幸いです。
【参考文献一覧】
『改訂新版 花粉症の最新治療』斎藤洋三著 (主婦と生活社)
『これでスッキリ 花粉症がみるみるよくなる62の対策』福田千晶監修 (日東書院本社)
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