インフルエンザが流行している時期に、風邪を引いて、インフルエンザと風邪の症状による区別で悩んだりしませんか?
無理をして、仕事や学校へ行き、万が一インフルエンザにかかっていたら周りに感染させてしまう恐れがあります。
そのような事態を起こさないためにも、しっかりと症状を見極めることが大切です。
この記事では、まずインフルエンザの初期症状ついて紹介していきます。
そのあとに、風邪との違いやインフルエンザの対処法などをお伝えします。
インフルエンザの症状が気になる人は、ぜひ参考にしてくださいね。
インフルエンザの初期症状とは
インフルエンザウイルスに感染したのち、潜伏期間を過ぎたころ、突然初期症状があらわれるのが特徴です。
インフルエンザにかかると、次のような症状が引き起こされます。
- 高熱(38℃以上)
- 頭痛
- 関節痛
- 筋肉痛
- 全身倦怠感
- のどの痛み
- 鼻水
- 咳
- 吐き気
- 下痢
インフルエンザの症状で、とくに強くあらわれるのが「高熱」「頭痛」「関節痛」「筋肉痛」などの全身症状です。
また、小さな子供がインフルエンザに感染した場合、「中耳炎」や「熱性けいれん」など併発するケースもあるので注意が必要です。
さらに、高齢者または呼吸器や心臓などに持病をもっている人は、インフルエンザの感染によって、持病が悪化しやすい傾向になっているので十分に注意するようにしましょう。
インフルエンザと風邪との症状の違い
インフルエンザと風邪の大きな違いは、発症する速度と症状の部位が異なってきます。
インフルエンザの場合、潜伏期間が過ぎたあと急激に症状が悪化するのに対して、風邪は比較的ゆっくりと悪化していきます。
その他の違いについては次の通りです。
インフルエンザ | 風邪 | |
---|---|---|
症状 | 高熱(38℃以上) 頭痛 関節痛 筋肉痛 咳 喉の痛み 鼻水 など |
喉の痛み 鼻水 くしゃみ 咳 発熱 微熱 など |
発症 | 急激 | 比較的ゆっくり |
発熱 | 急激 | ゆるやか |
悪寒 | 強い | 弱い |
腰痛・関節痛・筋肉痛など | 強い | なし |
症状の部位 | 強い倦怠感など全身症状 | 鼻、のどなど局所的 |
合併症 | 気管支炎、肺炎 | 少ない、中耳炎、副鼻腔炎 |
出典:厚生労働省「インフルエンザの基礎知識」
また、風邪は様々なウイルスによって引き起こされますが、インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することで引き起こる病気です。
万が一、高熱で全身に強い倦怠感があれば、インフルエンザの可能性が高いので、しっかりとマスクをした上で病院へ行き診察を受けるようにしましょう。
インフルエンザが流行する時期と潜伏期間
一般的なインフルエンザとは、毎年冬頃に流行する「季節性インフルエンザ」のことをいいます。
季節性インフルエンザの流行時期は、毎年11~4月頃に流行し、流行のピークは1~2月頃です。
感染経路は「飛沫感染」または「接触感染」になります。
インフルエンザウイルスに感染すると、1~3日間の潜伏期間後、突然に症状があらわれるのが特徴です。
季節性インフルエンザと新型インフルエンザの違いとは
インフルエンザには大きくわけて2つあり、「季節性インフルエンザ」と「新型インフルエンザ」が存在します。
季節性インフルエンザは、例年流行するインフルエンザです。
一方、新型インフルエンザは、季節性インフルエンザとは明らかに異なるウイルス性を持ち合わせ、ほとんどの人が免疫をもっていないのが特徴です。
そのため、新型インフルエンザが流行すると急速に蔓延しはじめ、健康に重大な影響を与える可能性があるものを新型インフルエンザと呼んでいます。
新型インフルエンザの驚異
新型インフルエンザは、その名の通り季節性とは異なる新しい型のインフルエンザウイルスなので、予防接種を受けていても感染してしまう特徴があります。
また、新型が流行すると誰も免疫を持ち合わせていないため、急速に広がっていきます。
日本では、2009年に新型インフルエンザである「H1N1」が流行しましたが、どの程度の人数が感染したのかご存じですか?
実は、わずか1年間で約2,000万人が感染したのです。
このH1N1には、幸いにも死亡率が低いインフルエンザウイルスだったため、この感染をきっかけに多くの日本人が免疫を獲得しました。
そして、2011年3月からH1N1は季節性インフルエンザとして扱われるようになっています。
新型インフルエンザが流行する年は、誰も予想することができないため、今後も注意が必要になってきます。
季節性インフルエンザには3つのタイプがある
季節性インフルエンザには次の3つに分けることができます。
- A型インフルエンザウイルス
- B型インフルエンザウイルス
- C型インフルエンザウイルス
このうち、流行となる季節性インフルエンザは「A型」と「B型」です。
A型インフルエンザの特徴
A型インフルエンザウイルスは、144種類ものタイプにわけることができます。
このうち、人に感染し流行しているタイプが「A/H3N2(香港型)」と「A/N1N1(ソ連型)」の2種類です。
この2種類のウイルスは毎年小さな変異をしているので、一度インフルエンザにかかっても、再び感染してしまうことがあるのです。
B型インフルエンザの特徴
B型インフルエンザウイルスは、2種類で「山形型」と「ビクトリア型」となります。
この2つのタイプにはさらに細かい型に分かれます。
先ほど解説したA型と同時期に流行することもあり、同じシーズンに2回かかるケースもあります。
C型インフルエンザの特徴
C型インフルエンザウイルスは、人に感染して発症することがないタイプです。
そのため、C型に関しては特に注意する必要はありません。
インフルエンザの検査方法
インフルエンザの検査は、家族や同僚などがインフルエンザにかかり、感染した疑いがあるときに検査します。
また、インフルエンザが流行中に通常の風邪で受診したとき、微熱があれば念のためインフルエンザの検査を受けることがあります。
ちなみに、インフルエンザ検査は、発症後6~12時間経過した頃に受けるのが最適なタイミングです。
インフルエンザの検査手順は、まず鼻の奥や喉の奥を細くて長い綿棒で拭い、そこにインフルエンザウイルスがいるかどうかで判断します。
検査方法は「簡易キット」または「分析装置」などを使い、どちらの検査方法でも、だいたい10分~15分程度で結果が出ます。
拭う箇所や検査に使う道具は病院によって異なります。
簡易キットによるインフルエンザ検査
簡易キットの検査は、操作がとても簡単な検査キットも使用して判定します。
- 簡易キットがコンパクトで、小さな病院でも検査することが可能
- インフルエンザウイルスの有無による目視ができるため、分析専門医がいない病院でも判定が可能
分析装置によるインフルエンザ検査
分析装置の検査は、特殊な装置を使用して機械がインフルエンザウイルスの有無を判定します。
簡易キットよりも正確な検査結果を得ることができます。
- インフルエンザウイルスの数が少なくても検出が可能
- インフルエンザ発症初期でも判定がでやすい
インフルエンザの治療は発症後48時間以内に受ける
万が一、インフルエンザに感染し発症した場合は、インフルエンザウイルス薬が処方されます。
インフルエンザウイルス薬には「タミフル®」や「リレンザ®」が使われています。
インフルエンザウイルス薬は、発症してから48時間以内に使用すると発熱期間が1~2日程度短縮され、ウイルスの排出量も減少効果があるのです。
しかし、48時間以上経過していると十分な効果が期待できません。
そのため、インフルエンザの受診タイミングは発熱後12~48時間以内と覚えておくようにしましょう。
インフルエンザに感染した場合の5つの対処法
- 発熱後12~48時間以内に受診
- 安静と休養をしっかりとる
- 水分をしっかりととる
- マスクを着用する
- 外出をしない
インフルエンザ予防にはワクチン接種が重要
インフルエンザの予防で必ず受けたいのが「インフルエンザワクチン接種」です。
インフルエンザワクチン接種の目的は、インフルエンザに感染しないことではなく、あくまでもインフルエンザ感染後の重症化を防ぐことが本来の目的となります。
なぜなら、毎年使用されるワクチンは世界での流行状況や前年の流行を考慮して、日本で流行しそうなタイプを予想して製造されているからです。
しかし、ワクチンには合併症や死亡を防ぐ一定の効果は証明されています。
そのため、子供や高齢者など重症化が心配される方には、必ず予防接種を受けることをオススメします。
ちなみに、ワクチンの効果があらわれのは予防接種後約2週間後です。
そして持続効果は約5ヶ月間といわれているので、流行シーズンの2週間前には予防接種を済ませておくようにしましょう。
インフルエンザを予防する方法
インフルエンザに感染しないためには、次の基本的な予防対策をしっかりとおこなうことです。
インフルエンザ流行前の予防法
- インフルエンザワクチンの接種を受ける
インフルエンザ流行中の予防法
- 外出時にはマスクを着用する(使い捨ての不織布マスク推奨:厚生労働省より)
- 極力、人混みや繁華街への外出を控える
- 室内では加湿器を使用する
- 食事前は帰宅後は手洗いとうがいをする
- 十分な栄養とバランスの良い食事を心がける
まとめ
インフルエンザの初期症状は、高熱(38℃以上)、頭痛、関節痛、筋肉痛による全身症状が大きな特徴です。
いつもの風邪とは違う症状や重さを感じたら自宅で安静にして様子をみましょう。
もし検査を受ける場合は、発症後6~12時間以降にしてください。
発症後すぐに検査を受けても陽性反応が出ないためです。
また、治療を受ける場合は、発熱後48時間以内に受診するようにしましょう。
インフルエンザにかかると辛い症状が続く上、重症化になるケースもあるので、まずはしっかりと予防対策をすることが大切です。
特に予防接種は毎年必ず受けるようにしましょう。
この記事を読んで、少しでもインフルエンザの初期症状や予防対策のお役に立てたら幸いです。
【参考文献一覧】
『図解 知っておくべき感染症33 原因・症状・予防法』今村顕史著 (西東社)
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