脂質異常症の原因5つと症状とは

脂質異常症を食事で改善!すぐに実践できる10の法則

脂質異常症と診断されても、いまいち実感がなく本当に病気なのか疑問を感じたりしませんか?

脂質異常症は自覚症状がないため、気づいたら健診で診断されていたというケースがもっとも多いかと思います。

脂質異常症になってしまったのには、きちんとした原因があるのです。
この原因をしっかりと把握していないと、いつまでも放置しつづけ、最終的に深刻な病気へとつながることがあります。

しっかりと原因を把握することで、適切な予防対策で改善させることも可能です。

この記事では、脂質異常症の5つの原因と症状について紹介していきます。

目次

脂質異常症には3種類ある

脂質異常症は、血液中に含まれる脂質によって3種類に分類されます。

高LDLコレステロール血症

悪玉と呼ばれるLDLコレステロールが血液中に多いタイプ

低HDLコレステロール血症

善玉と呼ばれるHDLコレステロールが血液中に少ないタイプ

高中性脂肪血症(高トリグリセライド血症)

中性脂肪が血液中に多いタイプ


脂質異常症と診断される基準は、この3種類のうちいずれか1つでもあてはまった場合となります。

脂質異常症になってしまう5つの原因

健康診断でもっとも多くみつかるといわれているのが、脂質異常症です。

通常、体内にある脂質の量は、必要な分だけを一定に保っています。
しかし、何かしらの原因によって脂質が増減しバランスが崩れると脂質異常症と診断されるのです。

では、どのような原因で脂質異常症になるのかというと、5つの原因があるとされています。

まずは、脂質異常症になってしまった原因をしっかり把握することが大切です。
なぜなら、原因によって改善方法や治療方法が異なってくるからです。

食べ過ぎや運動不足など生活習慣の乱れが原因

食べ過ぎや運動不足など生活習慣の乱れが原因

脂質異常症になる原因として、大きく影響を与えるのが生活習慣の乱れです。

食生活による原因

食べ過ぎや飲み過ぎによって過剰なカロリーを摂取したり、スイーツや動物性脂肪の多い肉などを好んで多く食べてしまう食生活は要注意です。

このような食生活を続けることで、LDLコレステロールや中性脂肪を増やしてしまい、脂質異常症になりやすいです。

アルコールの飲み過ぎによる原因

アルコールは、適量を飲むことでHDLコレステロールを増やしてくれる働きがあります。

しかし、ついつい飲み過ぎてしまうと、エネルギーを過剰に摂取してしまい、中性脂肪を増やしてしまうのです。

お酒は飲み過ぎないように心がけましょう。

運動不足による原因

車や電車による移動が多い生活を続けていると、慢性的な運動不足になってしまいます。

運動は、HDLコレステロールを増やす効果があるため、運動不足になるとLDLコレステロールが優位となり、脂質異常症になりやすいです。

喫煙による原因

タバコに含まれる「ニコチン」なども、HDLコレステロールを減らすうえ、LDLコレステロールを増やしてしまう作用があります。

ストレスによる原因

仕事や人間関係において、ストレスは避けられないものです。

そのストレスを多く受け続けていると、肝臓で作られるコレステロールや中性脂肪が促進されてしまうので注意が必要です。

加齢による原因

生活習慣とは少し離れてしまいますが、女性の場合、加齢も脂質異常症になる原因のひとつです。

女性の体内で分泌されている「女性ホルモン」が関係しており、閉経後になると女性ホルモンの分泌が減少していきます。

その影響により、LDLコレステロールが増えたり、HDLコレステロールが減少してしまうため、注意する必要があります。

遺伝が原因で引き起こる脂質異常症

遺伝が原因で引き起こる脂質異常症

脂質を代謝する働きに、遺伝的な欠陥があるために発症してしまうのが「家族性脂質異常症」です。
家族性脂質異常症には5つのタイプが存在します。

家族性高コレステロール血症の特徴

家族性高コレステロール血症は、LDLコレステロールを受け取る受容体の遺伝子に異常があります。
受容体とは、ホルモンや物質などをくっつけて、細胞内に反応を起こすタンパク質です。

この受容体が、LDLコレステロールを上手く細胞へと届けることができず、血液中に蓄積されてしまい、LDLコレステロールが高くなります。

家族性複合型高脂血症

家族性複合型高脂血症は、原因が1つだけなく、症状も多彩です。

高コレステロール血症と高中性脂肪血症が複合してあらわれやすく、動脈硬化性疾患を高い確率で合併してしまう特徴があります。

家族性Ⅲ型高脂血症

家族性Ⅲ型高脂血症は、脂質代謝に欠かせない「アポタンパク」の異常に、肥満や糖尿病が加わった症状が特徴です。

とくに、成人になってから発症しやすく、冠動脈疾患や動脈硬化性疾患が合併しやすくなります。
また、症状として手のひらに独特の黄色腫があらわれます。

家族性Ⅳ型高脂血症

家族性Ⅳ型高脂血症は、中性脂肪運ぶ「VLDL(超低比重リポタンパク)」の合成が、通常よりも高まり、中性脂肪値が高くなるのが特徴です。
健診で発見されることが多い病気です。

家族性リポタンパクリパーゼ欠損症

家族性リポタンパクリパーゼ欠損症は、中性脂肪の代謝に重要なリポタンパクリパーゼが欠損してしまうのが特徴です。
そのため、中性脂肪値が著しく高くなってしまいます。
中には、急性膵炎を合併することも。

症状として、発疹性黄色腫や肝脾腫などがあらわれます。

病気が原因で引き起こる脂質異常症

脂質異常症は、病気によっても引き起こされるのです。
とくに「糖尿病」は、患者の20~50%に脂質異常症があるといわれています。

なぜ、糖尿病になると脂質異常症を引き起こすのか。
その理由は、血糖値を下げる「インスリン」というホルモンの働きが悪くなり、高血糖になります。
それと同時に、脂質の代謝も悪くなることで血液中の脂質が増えやすくなるのです。

糖尿病以外にも脂質異常症を引き起こす病気があります。

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンの合成と分泌が減少し、活力が衰える病気です。
中年以降の女性になりやすく、LDLコレステロール値が上がる特徴があります。

ネフローゼ症候群

肝臓の病気で、尿にタンパク質が出てしまうため、血液中のタンパク質が減少してしまいます。
高コレステロール血症や中性脂肪値が高くなる特徴があります。

慢性腎不全

長い期間をかけて慢性の腎臓病が進行し腎臓機能が果たせなくなる病気です。
中性脂肪値が高くなったり、HDLコレステロール値が低くなる特徴があります。

閉塞性黄疸

肝臓から十二指腸までの、コレステロールや胆汁酸を排出する経路である「胆道」が詰まる病気です。
LDLコレステロール値が高くなり、HDLコレステロール値は低くなる特徴があります。

原発性胆汁性肝硬変

肝臓の中で胆汁が流れる管である「胆管」の流れが悪くなる病気です。
そのため、胆汁酸の原料であるコレステロールがあまり、高コレステロール血症になる特徴があります。

薬が原因で引き起こる脂質異常症

薬が原因で引き起こる脂質異常症

意外なのが、薬が原因によって脂質異常症になることがあるのです。

とくに次の治療薬を服用すると脂質異常症を引き起こす可能性があります。

降圧薬:β遮断薬

中性脂肪値を上げて、HDLコレステロール値を下げる作用があります。

降圧薬:サイアザイド系利尿剤

中性脂肪値やLDLコレステロール値を上げて、HDLコレステロールを下げる作用があります。

ホルモン剤:経口避妊薬

中性脂肪値を上げて、HDLコレステロール値を下げる作用があります。

ホルモン剤:エストロゲン製剤

中性脂肪値を上げる作用があります。

ホルモン剤:ステロイドホルモン剤

中性脂肪値やLDLコレステロール値を上げる作用があります。

免疫抑制剤:シクロスポリン製剤

中性脂肪値を上げる作用があります

角化症治療薬:レチノイド製剤

中性脂肪値やLDLコレステロール値を上げる作用があります。

向精神薬:クロルプロマジン

血中脂質が増える作用があります。

向精神薬:イミプラミン

HDLコレステロール値を下げる作用があります。

肥満が原因で引き起こる脂質異常症

肥満には「皮下脂肪型肥満」と「内臓脂肪型肥満」の2種類があります。
このうち、脂質異常症を引き起こしやすいのが内臓脂肪型肥満です。

なぜなら、脂肪細胞が分泌する「サイトカイン」に原因があるからです。
サイトカインには、いくつもの種類があり良い栄養を与えるものと悪い影響をあたえるものがあります。

内臓脂肪は、後者の悪い影響をあたえるサイトカインを多く分泌するのです。
さらに、インスリンの働きが悪くなるため、中性脂肪が増えて高中性脂肪血症になりやすくなるので注意しましょう。

脂質異常症の怖い点は無症状であること

脂質異常症は、健診で診断されても症状が無症状なので、深刻に受け止めない傾向があります。

厚生労働省の調査によると、自分が脂質異常症だと自覚しているのは、たったの3割程度で、脂質異常症のこわさについては4割近くが「わからない」と回答しているのです。

脂質異常症は、血液中の脂質バランスが崩れているのですが、風邪などと違い自分では変調を感じることができないため、脂質異常症をそのまま放置してしまうケースが多いのです。

脂質異常症を放置すると深刻な病気へとつながる

脂質異常症は、適切な対処をせずに放置しておくと、血管壁にコレステロールが蓄積されて「動脈硬化」を引き起こしやすくなります。
動脈硬化になってしまうと、「心筋梗塞」や「狭心症」、「脳梗塞」といった深刻な血管病を引き起こす原因になるのです。

しかも、動脈硬化がある程度進行してしまうと、あとから脂質異常症を改善したところで、一度傷んでしまった血管を元の健康な状態に戻すのは極めて困難になります。

脂質異常症と診断されたら、早めに対処することで改善しやすくなるので、深刻な病気にならないためにも予防対策をしっかりと行うことが大切です。

脂質異常症を改善させる予防対策

脂質異常症の改善や予防対策として、世界的にも効果が認められているのが「生活習慣の改善」です。
とくに次の4つは基本となる改善方法となります。

禁煙

LDLコレステロールの酸化や、HDLコレステロールの減少を防ぎ、血栓をできにくくなります。

体重管理

内臓脂肪を徐々に減らし、動脈硬化の予防につながります。

適度な運動

HDLコレステロールを増やし、中性脂肪を減少する効果があります。

食生活の改善

LDLコレステロールや中性脂肪を下げる効果があります。


これら4つの改善方法をしっかりと行うことで、脂質異常症を改善させることが可能です。
まずは、無理なく始められるところから対策するようにしましょう。

まとめ

この記事はいかがでしたか?

今回は、「脂質異常症の5つの原因と症状」について紹介しました。

もし、あなたに当てはまる原因があれば、その原因に最適な治療法や対策方法を実践することで解消しやすくなります。

この記事を読んで、少しでも脂質異常症の原因究明のお役に立てたら幸いです。

参照書籍

『患者のための最新医学 脂質異常症(コレステロールと中性脂肪)最新の食事療法』寺本民生監修(高橋書店)

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この記事を書いた人

自身の体調不良をきっかけに、健康の大切さを知り、健康管理の分野を学ぶ。より深い知識を身につけるため、健康管理能力検定3級・2級資格を取得し健康管理アドバイザーになる。少しでも健康に興味を持ってもらえるよう、分かりやすく役に立てる情報を発信するよう努めてまいります。

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