女性に多い貧血はさまざまな症状を引き起こします。
「体が冷えて夏場でも毛布が必要」
「朝起きてもスッキリしない」
このような症状は、貧血が起きている可能性が高いです。
この記事では、貧血の種類と症状について紹介していきます。
貧血で悩まされている人は、ぜひ参考にしてくださいね。
貧血で体にあらわれる症状と原因
貧血は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンが減少することで、体内が酸欠になった状態のことをいいます。
ここでは、貧血になるとあらわれやすい4つの症状と原因についてお伝えしていきます。
1.顔色が悪く、爪がおかしい
貧血は、血液の中に含まれる「赤血球」の数が減少することで引き起こります。
そのため、皮膚を赤くしている色素が減ることで、皮膚や粘膜の赤みがなくなり、黄色っぽくくすんだ顔色になるのです。
また、瞼の裏の粘膜も赤みがなくなるので、白っぽくなってしまう症状もあらわれます。
顔以外では、爪を確認することで貧血がどうかチェックすることができます。
基本的に、爪の色は多少濃淡はありますがピンク色をしています。
しかし、ピンク色の爪から白っぽく見えるようになってくると貧血の可能性が高いです。
さらに、貧血が進行してしまうと、爪がスプーンのように反り返ることがあります。
そのほかにも、爪が割れやすくなったり、表面が剥がれたり、溝ができて表面がデコボコになることもあるのです。
貧血が長く続けば続くほど、爪の状態が悪くなるので注意が必要です。
2.息切れがしやすく、動悸がする
体内に酸素を送り込むため、血液に含まれる赤血球の中の「ヘモグロビン」と酸素がくっついて体内を循環しています。
貧血が起こると、体内のヘモグロビンや赤血球が減少していることなので、その結果、酸素が上手く運べなくなるのです。
貧血になることで、心臓が酸欠を解消しようと心拍数を早めて大量の血液を流します。
そのため、息切れがしやすく、動悸の症状があらわれることがあるのです。
3.めまいや頭痛がする
脳は、体内の中で最も酸素を必要とするところです。
貧血による酸欠状態は、脳にとって大きな影響を与えてしまうのです。
その影響として、めまいや頭痛としての症状があらわれます。
さらに酷い場合は、失神してしまうケースもあるそうです。
ちなみに、朝礼や急に立ち上がったときに起こる、立ちくらみは脳貧血となります。
脳貧血とは、起立性低血圧が原因で、脳へ酸素が一時的に減ってしまい引き起こるのです。
そのため、貧血と脳貧血は別物となるので勘違いしないようにしましょう。
4.全身がだるく、疲労がとれない
筋肉にも酸素は重要な役割をしています。
血液で運ばれた酸素や栄養素をエネルギーにして筋肉が働くのです。
貧血によって酸欠になると、筋肉の働きが低下して、全身がだるくなったり、疲労がなかなかとれないなどの症状を引き起こします。
貧血にはさまざまな種類がある
貧血には主に4つの種類があります。
それぞれの貧血は、症状や原因がことなるので、ただの貧血と軽くみていると、あとで重い症状に悩まされるケースもあるのです。
そのため、どの種類の貧血か、ある程度見極められるよう、貧血の種類についてお伝えしていきます。
1.鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)
「鉄欠乏性貧血」は、体内の鉄分が不足することで引き起こす貧血です。
ほとんどの貧血は、この鉄欠乏性貧血であり、とくに若い女性を中心に増えています。
女性の場合、月経開始から閉経までの期間中、約10%が鉄欠乏性貧血状態にあるといわれているのです。
しかし、若い女性が鉄欠乏性貧血を引き起こす原因は、他にもあります。
若い女性の偏った食生活や、極端なダイエットなども貧血を引き起こすきっかけになっていると考えられています。
鉄欠乏性貧血の原因
鉄分が不足することで、赤血球の主な成分となる鉄が不足することで、ヘモグロビンの生成機能が低下します。
そのため、赤血球の中のヘモグロビンの量が減少してくるのです。
さらに、赤血球の大きさも小さくなることで、鉄欠乏性貧血を引き起こしてしまいます。
また、鉄分が不足してしまう原因は他にもあります。
【出血】
痔や胃腸、寄生虫による腸管の傷などで、少量の出血が長期にわたって続いていると、鉄欠乏性貧血が起こりやすくなります。
【月経・妊娠・分娩・授乳】
月経と分娩は、体外の出血によって鉄欠乏性貧血が起きやすくなります。
そして、妊娠中は胎児に鉄分を吸収されるので、鉄不足となり鉄欠乏性貧血を引き起こすのです。
また、授乳も同じく、母乳には鉄分が含まれているため、乳児に与えると鉄不足になってしまいます。
【鉄分の足りない食事】
鉄分は、レバーや血合いの多い魚などに多く含まれており、食事による1日に鉄分摂取目安は12mgとなります。
しかし、ダイエット中だからと野菜だけしか食べなかったり、偏った食事を続けていると、それが習慣となって鉄欠乏性貧血を引き起こす原因になってしまうのです。
【胃腸での吸収不足】
食事から摂取した鉄分は胃や腸で吸収されます。
しかし胃腸の粘膜に異常があると鉄分が上手く吸収されなくなってしまうのです。
胃に病気がある人は、鉄分の吸収率が悪いことがあるので、鉄欠乏性貧血にならないよう注意が必要です。
2.再生不良性貧血(さいせいふりょうせいひんけつ)
「再生不良性貧血」は、骨髄の働きが衰えて起こる貧血です。
原因は不明で確実な治療法もないため、厚生労働省の難病指定を受けています。
再生不良性貧血の症状
再生不良性貧血は、貧血で起きる一般的な症状に加えて、白血球も減少し免疫力が低下するため、発熱や喉の痛みなどの症状があらわれることがあります。
また、打撲による内出血が起こりやすくなったり、あざができやすいなどの症状もあります。
再生不良性貧血の治療方法
再生不良性貧血は、軽い症状を除いては輸血が必要となってきます。
また骨髄移植を洗濯するケースもあるそうです。
その他には、「シクロスポリン」などの薬による免疫抑制療法で効果が期待できることもあります。
3.巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)
「巨赤芽球性貧血」は、ビタミンが不足して起こる貧血です。
骨髄にある造血幹細胞は、ビタミンB12や葉酸といったビタミンがなければ、正常な赤血球をつくることができません。
赤血球がうまく作られないと、通常の赤血球より大きい巨赤芽球という赤血球の母細胞があらわれるのです。
そして、巨赤芽球といった異常な赤血球は、成熟することなく消滅することが多いため、貧血を引き起こすのです。
巨赤芽球性貧血の症状
巨赤芽球性貧血の症状は、貧血の一般的な症状のほかに、舌が赤くピリピリしたり、舌の表面がツルツルになる症状があらわれます。
また、食欲不振や吐き気などの症状もでることがあります。
巨赤芽球性貧血の治療方法
巨赤芽球性貧血は、不足しているビタミンを注射することで、改善することができます。
4.溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)
「溶血性貧血」は、赤血球が過剰に壊されて起こる貧血です。
赤血球の寿命は、一般的に約120日ですが、溶血性貧血になるとその寿命が短くなっていき、赤血球が破壊され減少してしまうのです。
そのため、新しい赤血球の生産が追いつかず貧血を引き起こしてしまいます。
溶血性貧血の症状
溶血性貧血の症状は、貧血の一般的な症状のほかに、壊れた赤血球の成分が皮膚に沈着して黄疸(おうだん)があらわれます。
また溶血によって、尿の色が濃くなったり、症状が進むと茶褐色の尿がでることがあるのです。
その他にも、腹痛や発熱をともなうこともあります。
まとめ
この記事はいかがでしたか?
今回は、「貧血の種類と症状」について紹介しました。
貧血といっても症状や心身に対する影響、そして原因なそれぞれ異なるのです。
ご自身で判断できない場合、必ず病院に行って、きちんと検査を受けるようにしてくださいね。
この記事を読んで、少しでも貧血の症状について、お役に立てたら幸いです。
【参考文献一覧】
『冷え症・貧血・低血圧』南雲久美子監修 ( 主婦の友社 )
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