貧血を改善するには「鉄」をしっかりと摂取すればいいと思っていませんか?
たしかに、鉄は必要不可欠ではありますが、鉄だけとっていればいいというわけではありません。
一番大切なポイントは、栄養素をバランスよくとることです。
さまざまな栄養素をとることで、栄養同士が協力し合うことで健康な体が作られ、その結果として貧血も改善されるのです。
この記事では、貧血に良い食べ物について紹介していきます。
また、貧血を改善させる栄養素や、貧血になりやすい人の注意点などについても、お伝えしていきます。
貧血で悩んでいる人は、ぜひ参考にしてくださいね。
鉄を多く含んでいる食べ物
貧血の改善に必要な鉄を多く含んでいる食べ物を紹介します。
ここで紹介する食べ物を毎日の献立に追加するよう心がけましょう。
食べ物 | 鉄の含有量(100gあたり) |
---|---|
豚レバー | 13.0mg |
鶏レバー | 9.0mg |
牛レバー | 4.0mg |
牛ヒレ肉 | 2.8mg |
コンビーフ缶詰 | 3.5mg |
鶏卵(卵黄) | 6.0mg |
煮干し | 18.0mg |
干しエビ | 15.1mg |
アサリ(佃煮) | 18.8mg |
アミ(佃煮) | 7.1mg |
カツオ(削り節) | 9.0mg |
カツオ(角煮) | 6.0mg |
赤貝(生) | 5.0mg |
マイワシ(丸干し) | 4.4mg |
大豆(乾燥) | 9.4mg |
きな粉 | 9.2mg |
高野豆腐 | 6.8mg |
小豆(乾燥) | 5.4mg |
湯葉(生) | 3.6mg |
糸引き納豆 | 3.3mg |
わらび(干し) | 11.0mg |
切り干し大根 | 9.7mg |
パセリ | 7.5mg |
唐辛子(乾燥) | 6.8mg |
大根(葉) | 3.1mg |
小松菜 | 2.8mg |
青のり(素干し) | 74.8mg |
干しひじき | 55.0mg |
刻み昆布 | 8.6mg |
カットワカメ | 6.1mg |
ゴマ(煎り) | 9.9mg |
アーモンド | 4.4mg |
成人女性が必要な鉄は、1日12mgとなります。
(閉経後は1日10mgとされています)
摂取した鉄のうち、体に吸収されるのが1日1mgです。
さらに、排泄される鉄も1日1mg前後あるため、少しでも不足してしまうと鉄が足りない環境になってしまいます。
実は、不足したからといってすぐに鉄がなくなるわけではありません。
肝臓には3gほどの鉄を確保しているため、体内で鉄不足になっても、しばらくの間は肝臓が補ってくれるのです。
しかし、補えるにも上限があるので、鉄を含む食べ物を毎日上手に摂取することが大切です。
鉄を効率よく摂取するポイント
食べ物から摂取した鉄のうち、体内に吸収されるのは約10%となります。
また、鉄はまとめて摂取するよりも、毎日必要な量をとるほうがいいとされているのです。
ここでは、鉄を効率よく摂取するためのポイントについて解説していきます。
鉄はヘム鉄と非ヘム鉄が存在する
鉄には、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります。
- レバー
- 肉類
- 魚類 など
- 野菜
- 豆類
- 穀類
- 海藻
- 卵
- チーズ
- 貝類 など
非ヘム鉄はヘム鉄と比べると体内での鉄の吸収率は低いのですが、動物性食品やビタミンCを含む食べ物と一緒に食べることによって、鉄の吸収率が高まるのです。
たとえば、牛肉と一緒に食べたときの吸収率は20%、大豆だと7%、ほうれん草だと1%ぐらいになります。
ビタミンCを摂取して鉄の吸収を高める
ビタミンCには、鉄の吸収を高めてくれる働きがあります。
ビタミンCは新鮮な野菜や果物に多く含まれています。
1日50mgのビタミンCを食べ物がとるようにしましょう。
- ブロッコリー
- いちご
- キウイ
- 柿
- 菜の花
- オレンジ
- 芽キャベツ
- 小松菜 など
赤血球など血液を作るのにかかせなビタミンB群
赤血球を作るには、ビタミンB12や葉酸と呼ばれる栄養素が必要不可欠です。
また、ビタミンB6も血液を作るのをサポートしてくれる栄養素となります。
葉酸はビタミンB群の一種であり、牛や豚のレバーや卵黄などに多く含まれているので、積極的に食べるようにしましょう。
- 牛レバー
- 豚レバー
- 豚肉
- 牛肉
- 羊肉
- サバ
- ニシン
- 牛乳
- 卵黄 など
鉄の吸収を助けるカルシウム
カルシウムも鉄の吸収をサポートしてくれる栄養素です。
さらにビタミンDは、カルシウムの吸収率をアップする働きがあります。
カルシウムを摂るときはビタミンDも同時にとると効率よくカルシウムを摂取することができまるのです。
- 干しエビ
- バジル
- カタクチイワシ(煮干し)
- 桜エビ(煮干し) など
- あん肝
- キクラゲ
- マイワシの丸干し など
貧血を予防するタンパク質
貧血を予防するには、良質な「タンパク質」もとる必要があります。
タンパク質には、鉄の吸収をよくする働きがあるのです。
タンパク質の摂取目安は、10代女性で65~70g、成人女性で60gとなります。
タンパク質は、牛、豚、鶏などの肉類や魚類、牛乳などの動物性と、大豆などに含まれている植物性があります。
どちらのタンパク質が良いとか悪いとか関係なく、どちらもバランスよく食べることで、お互いの欠点を補うことができるのです。
タンパク質も必要な量を毎日摂取することが大切
タンパク質も鉄と同じく、一度に多く食べだめはできません。
1日に必要な量を、食べ物でとるのが一番大切です。
焼き肉をたくさん食べたからといって、しばらくはタンパク質を摂らなくてもいいってことはありません。
糖質や脂肪も適量とることも大切
ダイエット中や、カロリーを気にして糖質や脂肪を食べないことがあると思います。
しかし、エネルギー源となる糖質や脂肪がないと、代わりにタンパク質がエネルギー源として使われてしまうのです。
その結果、血液を作るための栄養素として十分にタンパク質が運ばれなくなってしまいます。
貧血を予防するには、糖質や脂肪を含む食べ物も適量は必要なのです。
貧血になりやすい女性の注意点
貧血になりやすい女性が、普段から気をつけるべきポイントがあります。
少しでも貧血の症状を軽減するためにも、次にあげるポイントを抑えるようにしましょう。
20代は栄養バランスに気をつける
社会人になると、外食する頻度が増えたり、朝食を抜いたり、昼食は手軽に済ませるためファストフードやインスタント食品に頼る機会が多いです。
そのような生活を続けていると、どうしても栄養バランスに偏りが生じて、貧血を引き起こしやすくなってしまいます。
20代の時期は将来、母親になる可能性があるため、なるべく食事に気を配るようにしたいところです。
まずは、タンパク質、脂質、糖質、ミネラル、ビタミン類をバランス良く組み合わせた食事を心がけましょう。
外食でも、なるべく和食中心のメニューを選んだり、コンビニであれば野菜を必ず追加するなど、ちょっとした意識を持つようにしましょう
できる範囲から始めて、少しずつ栄養バランスを整えていくようにしてください。
また、3食きちんと食事をするようにしましょう。
妊娠中は胎児と2人分の栄養をとる
妊娠期間中は、胎児の発育に必要な栄養と母体に必要な栄養の2人分が必要になってきます。
そのため、いつもよりも食事に気を配る必要があるのです。
妊娠中はとくに鉄が不足しやすいため、貧血を予防するためにもいくつか注意したい点があります。
鉄の必要量が増える
成人女性の1日に必要な鉄は12mgとなっています。
しかし、妊娠中や授乳期は20mgと増えるので、いつも以上に鉄を摂取するようにしましょう。
妊娠検診でも、定期的に血液検査を行うので、鉄が不足しているかどうかはそこで確認できます。
もし鉄が不足している場合は、注射などで補ってもらえるので、極端に神経質にならなくても大丈夫です。
タンパク質の必要量も増える
タンパク質の必要量も鉄と同様に増えます。
妊娠中は70g、授乳期は80gとなっているので注意しましょう。
その他の栄養素もしっかりと摂る
ビタミンB群やビタミンCは、貧血を予防するのに重要な働きをするので、しっかりと摂取するようにしてください。
また、カルシウムも胎児の歯や骨を作るために使用するので、カルシウム不足にならないよう気をつけましょう。
食欲がないときの対処法
妊娠中は、どうしても「つわり」などや体調の変化などで、食欲が落ちることがあります。
そのようなときは、神経質にならず、間食なども食事の一部と考えて、栄養補給になりそうなもので、食べられそうなものを選びましょう。
また、1回の食事量が少ない場合は、1日の食事回数を増やして、少量ずつでも食べると必要な栄養も摂りやすくなります。
まとめ
この記事はいかがでしたか?
今回は、「貧血を改善する食べ物」について紹介しました。
女性にとって、貧血は身近なものです。
貧血慣れをして、また貧血か…、と軽くとらえずに、しっかりと栄養バランスのいい食事を心がけて、貧血が起きないよう対策をおこなうようにしましょう。
この記事を読んで、少しでも貧血を改善させるためのお役に立てたら幸いです。

【参考文献一覧】
『冷え症・貧血・低血圧』南雲久美子監修(主婦の友社)